SNS施策の月次レポートを提出したあとに、「この数字は売上にどう効いているのか」と問われて答えに詰まった経験はないでしょうか。

インプレッション数もリーチ数もエンゲージメント率も前月比で伸びている。それでもその伸びが商品の売上や指名検索の増加にどうつながったのかを説明しようとすると、根拠のある言葉が出てきません。

SNSの管理画面から取得できるのは、あくまでそのプラットフォーム内で起きたことを示す数値です。一方で、上長やクライアントが知りたいのは事業への貢献度です。この2つのあいだには構造的な距離があり、指標を並べるだけでは埋まりません。

そして、この距離を埋められないまま運用が続くと、次年度の予算折衝や施策の継続可否を判断する場面で不利に働きます。数字は毎月積み上がっているのに、投資対効果を説明できないという状態です。

本記事では、SNS効果測定を「事業成果への貢献をどう説明するか」という観点から捉え直し、目的の決め方から指標の選び方、施策別の測り方、実務の進め方までを整理します。中間指標が実際の成果をどこまで説明できるのかについては、REECHが蓄積してきた実データもあわせて紹介します。

この記事でわかること

✔SNS施策の成果が売上と結びつかない構造的な理由
管理画面で取得できる数値と、事業側が知りたい成果とのあいだには距離がある。まずこの構造を押さえる必要がある。

✔目的から逆算する指標の選び方と、実データで見た中間指標の限界
目的別のKGI・KPIの決め方に加え、imp数やUGC数が実売をどこまで説明できるのかを実データから整理する。

✔施策別の測り方と5ステップの進め方
アカウント運用・広告・キャンペーン・インフルエンサー施策それぞれの評価軸がわかり、自社の施策を設計し直せる。

1. SNS効果測定とは|「測る」前に決めること

効果測定の目的は「次の判断材料」を出すこと

SNS効果測定とは、実施した施策がどれだけの成果を生んだかを数値で確認し、次のアクションを決めるための一連の作業です。

押さえておきたいのは、効果測定のゴールが数値を揃えることではなく、次の施策で何を変えるかを判断できる状態をつくることにある点です。

この違いは実務に直接影響します。数値を揃えることが目的になると、取得しやすい指標から順に並べる作業になります。管理画面を開けばリーチ数もエンゲージメント率も表示されるため、それをレポートに転記して完了、という流れです。一方、判断材料をつくることが目的であれば、「何がわかれば次の打ち手を決められるか」から逆算して指標を選ぶことになります。

つまり効果測定は、施策が終わったあとに始まる作業ではありません。何を測るかは、施策を設計する時点ですでに決まっています。

KGIとKPIの関係を先に決める

指標選びの土台になるのが、KGIとKPIの整理です。

KGI(Key Goal Indicator)は最終的に達成したいゴールを示す指標で、売上、購入意向、ブランド認知率などがこれにあたります。対してKPI(Key Performance Indicator)は、そのゴールに向けて進捗しているかを確認する中間指標です。リーチ数、保存数、クリック数などが該当します。

重要なのは、KPIをどこまで遡って設計するかです。

たとえば当面の目的が認知獲得であれば、リーチ数をKPIに置くこと自体は妥当な判断です。フェーズに対して適切な指標を選んでいる以上、この決め方が間違っているわけではありません。問題は、そこで設計を止めてしまうことにあります。

認知はあくまで通過点であり、その先には売上や購買という事業上のゴールがあるはずです。リーチが伸びたという事実と、事業がどう前進したかを結ぶ線が引かれていないと、施策の評価は「今月もリーチが伸びました」で止まってしまいます。

実務上必要なのは、フェーズごとのKPIを置きながら、それが最終的にどのKGIにつながるのかを一本の線で説明できる状態にしておくことです。認知フェーズであれば、リーチの先に何を見るのか。想起率なのか、指名検索数なのか、比較検討フェーズへの移行率なのか。ここまで含めて設計しておきます。

この線が引けていれば、リーチ数は伸びているのに売上が動かないという状況が生じたときに、どの段階で止まっているのかを特定できます。逆に線が引けていないと、リーチが伸びたこと自体を成果として報告するしかなくなり、次の打ち手も決まりません。

手法によって測るものは変わる 

もうひとつの前提として、SNS施策をひとくくりに扱えないという点があります。企業がSNSで実施する施策は、主に次の4つの手法に分かれます。

  1. アカウント運用
    自社の公式アカウントで継続的に発信し、フォロワーとの関係を積み上げていく手法です。投稿単位で成果が完結せず、数か月かけて蓄積されるという特性があります。
  2. SNS広告
    各プラットフォームが提供する広告メニューを使い、年齢・地域・興味関心などの条件でターゲットを絞って配信する手法です。フォロワー以外にも届けられるため、自社アカウントのリーチの限界を超えられます。予算の増減で配信量を調整でき、成果が出るまでの期間も比較的短く済みます。
  3. SNSキャンペーン
    フォローやリポストを応募条件にした企画など、ユーザーの参加を前提とした期間限定の施策です。期間と応募数が明確なため、他の手法に比べて成果を数値で捉えやすい特性があります。
  4. インフルエンサー施策
    影響力を持つ発信者に商品やサービスを紹介してもらう手法です。企業からの発信ではなく第三者の言葉として届くため、受け手の警戒感が下がりやすくなります。一方で、投稿内容を完全にコントロールできない点は他の手法と大きく異なります。

この4つは、成果が出るまでの時間軸も、運用側が動かせる変数も、取得できるデータも異なります。たとえばフォロワー数を見る場合でも、アカウント運用では数か月の積み上げの結果として評価しますが、キャンペーンでは応募目的で増えた分が含まれるため、終了後にどれだけ残ったかまで確認しなければ意味を持ちません。同じ指標でも、手法が変われば解釈が変わります。

したがって、共通のKPIセットを全施策に当てはめるのではなく、手法ごとに測るべきものを決める必要があります。第4章でそれぞれの実務を整理します。

関連記事:SNSマーケティングとは?主要4媒体の特性と効果を出す進め方を解説

2. なぜSNSの効果測定は難しいのか

ユーザーは複数の媒体をまたいで検討・購入する

効果測定が難しい理由の第一は、商品を知ってから購入するまでのあいだに、ユーザーが複数の媒体を横断することです。

エクスクリエの調査(2026年2月)によると、YouTube視聴中に気になる商品・サービスを見かけたときの行動として最も多かったのは「他のSNSやGoogle検索で調べる」で22.2%でした。特に女性15〜49歳で他のセグメントより高い結果となっています。また、YouTube動画をきっかけとして商品・サービスを購入した経験がある人は全体の43.3%、タイアップ動画をきっかけとした購入経験は31.5%でした。

関連記事:【エクスクリエ調査】「YouTubeにおける購買行動調査」(2026年)

この調査からは、YouTubeが購買のきっかけとして十分に機能していることがわかります。同時に、その多くが動画を見た流れでそのまま購入するのではなく、別の媒体で情報を集め直したうえで購入していることも読み取れます。

つまり、購買の起点になった媒体と、比較検討が行われた場所と、実際に購入された場所は一致しないケースが多いということです。この場合、起点となった媒体の管理画面に表示される数値だけを見ても、その施策が購買にどれだけ寄与したかは把握できません。同じ構造はInstagramでもTikTokでも生じます。プラットフォーム内の指標だけで効果を語ることに限界があるのは、この分断が理由です。

中間指標が成果を説明できるとは限らない

第二の理由は、追いかけている中間指標そのものが、実売との関係を保証していない場合があることです。

REECHでは、ある大手飲料ブランドの店頭ID-POSデータと、指名検索数・UGC数・imp数を突き合わせた分析を実施しました。そこで確認できたのは次の3点です。

  1. imp数とPOS・指名検索は比例しにくい傾向
    impが期間中で最大級だった月に指名検索が特に伸びていない一方、impが低い月に指名検索が中位を維持しているケースが確認されています
  2. UGC数と指名検索も一致しにくい傾向
    指名検索は、UGCよりも広告出稿・店頭露出・ブランドのベース認知といった他要因の影響を受けている可能性が高いと考えられます
  3. 一方で、UGC数とPOSは比例しやすい傾向
    単月比較で因果を断定できるほどの一貫性はないものの、UGCが高まる局面ではPOSも高水準で推移する傾向が見られました

ここから言えるのは、impは露出機会をつくったことを示す中間指標であり、実売や検索行動を直接説明する指標とは言い切れないということです。impが指名検索につながるには、ブランド名が記憶に残るか、クリエイティブが強いか、話題化やUGCが起きるかといった質的な条件が必要になります。

なお、これは特定カテゴリにおける一例であり、すべての商材に当てはまるわけではありません。若年層向けコスメやEC中心の美容・健康食品などでは、異なる傾向が出る可能性があります。ただ少なくとも、impを増やせば売上が伸びるという前提を無条件に置くことには慎重であるべきだといえます。

代わりに使える指標を持てていない

第三の理由は、構造というより運用体制の問題です。

リーチやimpだけで判断すべきではないと理解していても、それ以外の軸で評価するための視点とデータが手元にない。結果として、取得しやすくわかりやすい数値で報告することになります。この状況は多くの現場で生じています。

加えて、社内の共通言語がマス広告由来のリーチ中心の発想で形成されている場合、SNS施策もその枠組みで説明せざるを得なくなります。フォロワー数の多いインフルエンサーが選ばれやすいのも、同じ構造から生まれています。

効果測定を機能させるには、露出量の代わりに使える指標を用意することが必要です。次章から、その具体を見ていきます。

3. 目的別に見るべき指標を決める

指標を選ぶときに有効なのは、「このフェーズで何を確かめたいのか」を先に言語化することです。問いが定まれば、それに答えられる指標は自然と絞られます。

逆に問いが曖昧なまま指標だけを並べると、数値は揃っても解釈ができません。フェーズごとの問いとそれに対応する指標を整理します。

認知フェーズ|狙った層に届いたか

新商品の立ち上げや、これまで接点のなかった層への訴求が目的の場合、確かめたいのは「狙った層に届いたか」です。

このフェーズの指標は、リーチ数、視聴数、フォロワー数の増加が中心になります。ただし前章で触れたとおり、露出量が増えたことは認知が形成された証明にはなりません。可能であれば、施策の前後で認知率を測る定点調査を併用することをおすすめします。半年から1年に1回程度の頻度でも、推移が追えれば判断材料になります。

もう一点、「狙った層に」という部分の確認も欠かせません。リーチの総量が伸びていても、その内訳が想定と違う層であれば、次のフェーズには進みません。インサイトで確認できるリーチしたオーディエンスの属性を、必ず総量とセットで見てください。

動画コンテンツの場合は、再生数の絶対値だけでなくフォロワー数に対する再生数の比率を確認すると、コンテンツがフォロワー外にどれだけ届いたかを判断しやすくなります。

興味・比較検討フェーズ|届いた人に刺さったか

このフェーズで確かめたいのは、届いた人のなかで何割が反応したかではなく、その反応がどれだけ深かったかです。

有効なのは次の2つの指標です。

  • 保存率(保存数÷リーチ数):投稿が「後で見返したい」と判断されたかを示す
  • 視聴維持率(平均視聴時間÷動画尺):投稿が最後まで視聴されたかを示す

再生数やimp数から読み取れるのは、見られた量までです。いいねやコメントも反応量であって、深さを示すものではありません。コンテンツが実際に刺さったかどうかを判断するには、この2つを組み合わせて確認する必要があります。

特にInstagramは保存や発見タブがビジュアル検索エンジン的に機能するため、保存の蓄積がその後の露出にも影響します。刺さり方を測る指標であると同時に、次の露出を生む起点にもなっているという点で、優先度の高い指標です。

購買フェーズ|行動に至ったか

確かめたいのは、接触したユーザーが実際の行動を起こしたかどうかです。

最も確実なのはSNS経由の売上を直接計測することで、ショッピング機能を利用している場合はプラットフォーム側で確認できます。

直接計測が難しい場合は、まずECサイトへの流入数を測ります。そのうえで、流入数にコンバージョン率と客単価を掛け合わせることで、SNS経由の売上を概算できます。

流入数はGoogleアナリティクス(GA4)の「トラフィック獲得」レポートにある「セッションのデフォルトチャネルグループ(Organic Socialなど)」や「参照元/メディア」の項目から確認できます。UTMパラメータをリンクに付与しておけば、どの投稿・どのキャンペーンからの流入かまで切り分けられます。

店頭販売が中心の商材では、流入数という考え方が使えません。この場合はID-POSデータとの突き合わせ、レシート応募型キャンペーンでの購入証明、店頭施策との連動設計といった手段を検討することになります。

リピート・推奨フェーズ|関係が続いているか

確かめたいのは、一度の購入で終わったのか、それとも継続的な関係が生まれたのかです。

指標としては再購入率や推奨意向が該当します。前述のエクスクリエ調査では、YouTubeのタイアップ動画をきっかけに購入した商品・サービスを再購入したことがある人が36.8%という結果も出ています。初回購入だけでなく、その後の継続まで含めて設計する余地があることを示す数値です。

あわせて、ソーシャルリスニングによる言及内容の分析も有効です。言及数という量だけでなく、どのような文脈で語られているか、ポジティブかネガティブかという質を確認することで、ブランドがどう受け止められているかを把握できます。

4. 施策別の効果測定の実務

ここからは、施策の型ごとに実務のポイントを整理します。

アカウント運用の場合

アカウント運用は、単発の投稿ではなく積み上げで評価する施策です。月次で以下を並べ、推移を確認するのが基本形になります。

  • フォロワー数と増加数
  • 投稿ごとのリーチ数・保存数・エンゲージメント数
  • プロフィールアクセス数とリンククリック数

このうち次の判断につながりやすいのは、投稿単位のデータです。保存が多かった投稿とそうでない投稿を並べ、テーマ・構成・冒頭の見せ方に何の違いがあったかを言語化する。この作業を毎月続けることで、勝ちパターンが蓄積されていきます。

アカウント全体の数値だけを追っていると、この粒度の学習は起きません。提出用のレポートには全体推移を載せつつ、内部の振り返りでは投稿単位まで確認することをおすすめします。

SNS広告の場合

SNS広告はコンバージョン計測の仕組みが整っているため、効果測定は比較的しやすい領域です。CPA、ROAS、CVRといった指標で費用対効果を直接評価できます。

一方で、計測上の注意点がいくつかあります。

ひとつは、媒体をまたいだコンバージョンの二重計上です。SNS広告経由でサイトを訪れたユーザーが、後日リスティング広告から再訪して購入した場合、両方にコンバージョンが計上されることがあります。媒体ごとの数値を単純合算すると、実際の成果より大きな数字になります。

もうひとつは、クリックから購入までの時間差です。SNS広告はニーズが顕在化していない状態で接触することが多いため、クリックから購入までに日数を要します。アトリビューション期間を短く設定しすぎると、実際には寄与している広告を停止する判断につながりかねません。

インフルエンサーの投稿を広告として配信する第三者配信を行う場合は、オーガニック投稿での反応と広告配信時の反応を分けて確認する必要があります。

関連記事:第三者配信とは?失敗しないSNS広告の条件

SNSキャンペーンの場合

キャンペーンは期間と応募数が明確なため、一見すると最も測りやすい施策です。ただし応募数だけで評価すると、判断を誤ります。

応募数は景品の魅力度に強く左右されます。訴求力の高い景品を用意すれば応募は集まりますが、その応募者が自社商品のターゲット層とどれだけ重なっているかは別の問題です。応募者の属性、キャンペーン終了後のフォロワー残存率、UGCの内容といった中身まで確認して、初めて施策の良し悪しを判断できます。

なお、キャンペーンのKPIは企画段階で確定させ、結果を見てから選び直さないことが重要です。この点は次章で改めて触れます。

関連記事:SNSキャンペーンとは?種類・目的別の選び方を解説
関連記事:SNSキャンペーン成功事例12選|目的別の選び方も解説

インフルエンサー施策の場合

インフルエンサー施策の効果測定は、2つの層に分けて考える必要があります。誰を起用するかを決める基準と、投稿の質を判断する基準です。この2つを混同すると、振り返りが機能しません。

① 選定(キャスティング)時に見る基準
起用前の判断で確認するのは、そのアカウントがフォロワー外にどれだけ届く力を持っているかです。

  • 視聴率(直近90日の再生数÷フォロワー数):REECHのデータでは、販売効果に直結した施策の8割以上で、IGリール・TikTokの視聴率がEC向けで150%以上、店頭向けで270%以上あるケースが大半でした
  • フォロワー成長率(直近90日):EC施策において、直近90日でフォロワー増加率が10%以上のアカウントは、他と比べてCTRで1〜2%、CVRで3〜5%程度高い傾向が見られました
  • ENG率:選定の参考指標のひとつです。単独での判断は推奨しません

これらの基準値はフォロワー規模によって変わります。フォロワー数が少ないアカウントほど視聴率は高く出るため、同じ数値でも意味が異なる点に注意してください。

② 投稿後に見る基準
施策実施後、投稿の質を判断する基準が保存率と視聴維持率です。実際の事例を見ると、この2つの重要性がわかります。fig04 influencer post checklist p46fig05 cpv vs contribution p51

同一施策で起用した2アカウントを比較したところ、再生単価は1.90円のアカウントのほうが優れていました。しかし店頭POS・ECモール・ブランドエクイティへの寄与が大きかったのは、再生単価2.54円のアカウントでした。両者の差は、保存率と視聴維持率に表れています。

効率指標だけで選定すると、実際に成果につながっているアカウントを取りこぼす可能性がある。この事例はその一例です。

なお、ここで挙げた基準はいずれもインフルエンサー投稿を対象としたものです。SNS広告の配信KPIやキャンペーンの評価基準としてそのまま流用すると、比較対象がずれるためご注意ください。

5. 効果測定の進め方5ステップ

STEP1 目的とKGIを1つに絞る

まずこの施策で何を達成したいのかを1つに定めます。

認知も取りたい、フォロワーも増やしたい、売上にもつなげたい。この状態のまま進めると、どの数値を見ても判断がつきません。優先順位をつけ、主目的を1つに絞ってください。

そのうえで、その目的を数値で表せるKGIに落とし込みます。「認知を広げる」ではなく「20代の商品認知率を15%から20%に」というレベルまで具体化することが必要です。

STEP2 KPI・計測方法・比較対象を同時に決める

KGIが決まったら、KPIを設定します。ここで重要なのは、KPIと同時に「どう測るか」「何と比べるか」まで決めておくことです。

  • 計測方法:どのツールの、どの数値を見るのか
  • 集計期間:いつからいつまでを対象とするか
  • 比較対象:前月比か、前年同月比か、施策実施前の平均か

この3つが曖昧なまま施策を開始すると、終了後に「何と比べるべきか」の議論から始めることになります。特に比較対象は、施策前に決めておかないと、都合のよい期間を選べる余地が残ります。

STEP3 データを集める

施策の進行と並行してデータを収集します。主な取得元は次のとおりです。

取得元

取得できるもの

各SNSのインサイト/アナリティクス

リーチ、保存、視聴維持率、フォロワー推移

Googleアナリティクス(GA4)

SNS経由の流入数、サイト内行動、コンバージョン

UTMパラメータ

投稿・キャンペーン単位の流入の切り分け

アンケート調査

認知率、好意度、情報接触経路

ソーシャルリスニング

UGC数、言及内容、感情分析


アカウント数や媒体数が増えると、手作業での集計は現実的でなくなります。分析ツールの導入を検討する目安として、レポート作成に月8時間以上を要している状態を一つの基準にするとよいでしょう。

STEP4 「なぜその結果になったか」まで言語化する

集めた数値を並べただけでは、レポートは完成していません。

保存率が前月より0.2ポイント上昇したとして、その要因は何か。投稿テーマを変えたためか、冒頭3秒の構成を変えたためか、あるいは季節要因か。ここまで踏み込まないと、次の施策で再現できません。

要因が特定できない場合は、特定できなかったという事実も含めて記録に残してください。仮説が外れたという情報も、次回の判断材料になります。

STEP5 次の施策の設計に反映する

最後に振り返りの結果を次の施策設計に落とし込みます。

続けるもの、やめるもの、新たに試すもの。この3つに分けて整理すると、次のアクションが決まりやすくなります。そして、次の施策のSTEP1に戻る。この循環が回り始めると、効果測定は報告業務ではなく改善の起点として機能するようになります。

6. 効果測定でつまずきやすい3つのポイント

結果を見てからKPIを選び直してしまう

最も起きやすく、最も影響が大きいのがこのパターンです。

施策終了後に数値を確認すると、伸びている指標が目に入ります。そこで「今回はこの指標で報告しよう」と決めてしまうと、その時点で振り返りは機能しなくなります。毎回異なる指標で報告することになり、施策間の比較もできません。

KPIは企画段階で確定させ、結果が芳しくなくてもその指標で報告する。この運用が、効果測定の信頼性を支えます。

単月・単発の数字で因果を断定してしまう

SNS施策の効果は、単月の数値だけでは判断しづらいものです。

前章で紹介したREECHの分析でも、単月比較で明確な因果関係を断定できるほどの一貫性は見られませんでした。売上は配荷、店頭露出、価格、季節性など、SNS以外の要因からも影響を受けます。

数か月単位の推移で確認する、あるいは施策を実施した地域と実施しなかった地域を比較するなど、他要因の影響を切り分ける工夫が必要です。

媒体をまたいだコンバージョンの二重計上

各媒体の管理画面は、自社の広告に接触したユーザーがその後コンバージョンしたかを、自社の計測タグで独自に判定しています。媒体をまたいで突き合わせる仕組みはありません。

そのため、Instagram広告をクリックした数日後にリスティング広告経由で購入したユーザーは、Meta側とGoogle側の両方で成果として計上されます。どちらも自分のルールに従って正しく数えていますが、合算すると1件の購入が2件になります。

見落とされやすいのがビュースルーコンバージョンです。Meta広告の標準設定は「クリックから7日間、表示から1日間」のため、クリックしていなくてもフィードに表示されてから24時間以内に購入すれば成果として計上されます。管理画面のコンバージョン数は伸びているのに受注が増えていない場合は、この計上が影響している可能性があります。

確認方法と対処

  • 媒体別のコンバージョン数を合計し、実際の受注件数と突き合わせる。合計が上回っていれば、その差分が重複分です
  • 全体の成果はGA4や基幹の受注データを基準とし、媒体別の数値は貢献度の参考として扱う
  • 配信最適化の判断には、媒体側の数値をそのまま使う(アルゴリズムの学習用データのため)

より精度を求める場合は、特定媒体の配信を止めた期間と出稿した期間で全体の売上を比較する方法もあります。手間はかかりますが、アトリビューションの議論を経由せずに実質的な貢献度を確認できます。

7. まとめ

SNS効果測定について整理してきました。要点は次の5点です。

  1. 管理画面の数値と事業成果のあいだには構造的な距離がある。 ユーザーは複数の媒体をまたいで検討・購入するため、起点となった媒体の数値だけでは購買への寄与を把握できません
  2. KPIはKGIから逆算して設計する。 フェーズに応じた指標を置くこと自体は妥当ですが、それが最終的にどの事業成果につながるのかまで線を引いておかないと、次の打ち手を決められません
  3. imp数やUGC数は、実売や指名検索を直接説明する指標とは言い切れない。 REECHの分析では、impと売上・指名検索の比例関係は見出しにくい一方、UGCと店頭POSには一定の関係性が示唆されました
  4. 量の指標と質の指標を組み合わせる。 特にインフルエンサー投稿では、保存率と視聴維持率が投稿の刺さり方を判断する材料になります
  5. KPIは企画段階で確定させ、結果を見てから選び直さない。 この運用が振り返りの精度を決めます

効果測定は施策の後処理ではなく、次の施策の起点です。測る対象を決め直すところから始めてみてください。

【執筆者プロフィール】
兼重 成美
株式会社エクスクリエ マーケティングG

インフルエンサー会社でのキャスティング・ディレクション実務を経て、インフルエンサー施策をテーマにしたウェビナーの企画・運営に従事。現在はクロス・マーケティンググループにて、「エクスクリエ」「REECH」「トキオ・ゲッツ」の3社横断でマーケティングを担当。エクスクリエおよびREECHのオウンドメディア運営・コンテンツ制作を担い、REECHではSNS施策の実務情報を広告代理店・メーカーのマーケター向けに発信している。

インフルエンサーマーケティングならREECH DATABASE

REECHは国内70万件以上のインフルエンサーアカウントデータと3億件超の投稿データを保有するインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「REECH DATABASE」を運営しています。視聴率・フォロワー成長率・過去の人気クリエイティブ検索など30項目以上の分析指標をもとに、再現性の高いキャスティングと効果測定を実現します。

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