「企業がSNS運用をするメリットとは」━━
ブランド担当者・SNS担当者にとって一度は社内で説明したことがあるのではないでしょうか。新しくアカウントを立ち上げる時や既存の体制を維持するときに一度は問われるはずです。

このとき使われる説明は、比較的低コストで運用できる、拡散が期待できる、顧客と直接やりとりできるといった内容が中心です。いずれも事実ではありますが、SNS運用が一般化した現在では、決裁の材料としては弱くなりました。本当に知りたいのは「メリットがあるかどうか」ではなく、限られた人員と予算をここに割く根拠だからです。

一方で企業SNSを取り巻く環境はこの1〜2年で変わりました。生活者が商品を調べる経路に生成AIが加わり、AIがブランドについて答えるときの参照先には、企業の公式サイトだけでなくSNSや動画プラットフォームが含まれています。

本記事ではAIが台頭する中で企業SNSが果たしている役割をデータで整理。その価値を社内で説明するための指標設計まで扱います。

この記事でわかること

✔企業SNSのメリットが問い直されている理由
生活者とブランドの間にAIが入り、SNS運用の位置づけが変わった。従来の「拡散」「低コスト」という説明では、社内の判断材料にならない。

✔日本のAIが引用している情報源とSNSの役割 
国内5つのAIプラットフォームの引用元データをもとに、公式アカウント・第三者の言及・UGCがそれぞれ担う役割を整理する。

✔メリットを社内で説明するための指標設計
フォロワー数やimp数に頼らず、事業成果につながる指標で企業SNSの価値を示せるようになる。

1. 企業SNS運用のメリットは、いま問い直されている

これまでの説明が通じにくくなった理由

企業SNSのメリットとして挙げられてきたのは、おおむね次の4点です。

  • 比較的低コストで運用できる
  • 投稿が拡散する可能性がある
  • 顧客と双方向にやりとりできる
  • 反応から生活者のニーズを把握できる

いずれも現在も成立します。1点目の低コストについて補足すると、これはテレビや新聞といったマス広告、あるいはリスティング広告と比較した場合の話です。アカウントの開設と基本的な情報発信は費用をかけずに始められるため、多額の初期投資を必要としません。リソースが限られている場合ほど、この点は有効に働きます。

ただし、運用を続ける段階では話が変わります。質の高いコンテンツの制作には費用がかかり、届く範囲を広げるために広告配信を組み合わせれば出稿費も発生します。加えて、企画から制作、コメント対応までを担う担当者リソースが毎月必要になります。

社内向けの説明で「低コストでできる」とだけ伝えてしまうと、後から制作費や広告予算、体制の話を持ち出しにくくなります。何と比較しての低コストなのかを添えておくほうが、その後の議論が進めやすくなります。

そのうえで、上記4点はいずれもSNSが新しいチャネルだった時期に整理された内容です。運用が一般化し、社内に前任者の実績が残っている状況では、それだけでは判断の材料になりません。何が変わったのかを添えて説明する必要があります。

生活者の情報接点に生成AIが加わった

エクスクリエが2026年4月に実施した調査によると、生成AIツールを月1回以上利用している人は全体の40.6%でした。現在利用している人のうち67.6%が、およそ1年前と比べて利用頻度が増えたと回答しています。

生活者がAIをどう位置づけているかも示されています。生成AIに対するイメージを聞いた設問では、「検索エンジンの代わり」が30.9%で最多でした。これまで検索窓に入力していた内容が、AIへの質問に置き換わりつつあるということです。

この変化は買い物の場面にも表れています。生成AI利用者のうち、商品・サービスの買い物で生成AIを活用したことがある人は69.9%でした。活用場面として多かったのは「自分に合う商品・サービスの絞り込み」18.2%、「商品・サービスの仕様や機能の詳しい説明」17.3%、「口コミ・レビューの収集・要約」17.3%です。

さらに買い物で生成AIを活用したことがある人の61.3%が、AIで調べたりおすすめされたりした商品を実際に購入・利用した経験があると回答しています。AIの回答は情報収集の段階で終わらず、購買まで到達しています。fig 01 ai purchase journey

 関連記事:【エクスクリエ調査レポート】日常生活・買い物における生成AI活用実態調査(2026年)  

検索順位に加えて、引用の有無が効いてくる

これまでブランドが生活者に届く経路は検索エンジンで調べる、あるいはSNSで見つけるという2つが中心でした。そこにAIに質問する、AIが複数の情報源をもとに回答を組み立てる、その回答の中でブランドが挙がるという経路が加わっています。

これまでの経路で勝負どころになっていたのは、自社サイトの検索順位とSNS上での見つかりやすさでした。加わった経路で効いてくるのは、それらに加えて自社の外側にどれだけ情報が蓄積されているかです。AIは回答を組み立てるとき、企業が自社サイトで発信した情報だけを参照しているわけではありません。では実際に日本のAIは何を参照しているのでしょうか。

2. 日本のAIは何を引用しているのか

国内AI検索の引用元ランキング

分析ツールのAhrefsが、日本国内の主要5プラットフォーム(GoogleのAIモード、AIによる概要、ChatGPT、Perplexity、Copilot)の回答で引用されるドメインを集計しています。2026年6月時点の総合ランキングは次のとおりです。

順位

ドメイン

1

youtube.com

2

note.com

3

ja.wikipedia.org

4

ameblo.jp

5

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

6

prtimes.jp

7

reddit.com

8

my-best.com

9

item.rakuten.co.jp

 

YouTubeは2期連続の1位です。解説動画やレビュー動画が幅広いトピックで蓄積されており、AIが参照しやすい情報源になっていると分析されています。2位のnoteは前回調査の5位から順位を上げました。以下、Q&Aサイト、プレスリリース配信サービス、比較メディア、ECモールの商品ページが並びます。

出典:AI検索で引用されるドメイン、YouTubeが首位維持! noteは5位→2位に急上昇【Ahrefs調べ】(2026年7月8日)

同社はAIに引用されるドメインの条件として次の3点を挙げています。

  1. 公式の一次情報を、日付つき・事実ベースで発信していること
  2. ユーザーが求める情報に対して、確かで権威性のある答えを持っていること
  3. 実体験やリアルな評価が集まる場であること

このランキングから読み取れること

上位に並んでいるのは、大きく2つの性質を持つ場所です。ひとつは実際に使った人の評価が集まる場所(YouTube、Q&Aサイト、比較メディア、ECの商品ページ)。もうひとつは、日付と事実が明確な形で一次情報が置かれる場所(note、プレスリリース)です。

ここで確認しておきたいのは、企業の公式サイトのブランドページが上位に入っていないという点です。自社サイトの整備が不要という意味ではありませんが、それだけではAIの回答に登場しにくい構造になっています。

企業SNSの運用は、この両方の性質に関わります。公式アカウントの発信は、商品名の正しい表記や仕様、価格改定といった事実を日付つきで置いておく役割を担います。そして、その発信をきっかけに生まれる生活者の投稿が、実体験の側を積み上げます。

公式アカウントの発信と、第三者の言及は役割が違う

この2つは担う機能が異なります。

公式アカウントの発信が果たすのは、事実の基準点をつくることです。商品の正式名称、リニューアル後の仕様、内容量や価格の変更、取扱チャネル。ここが更新されていないと、古い情報が生活者にもAIにも伝わり続けます。

一方、AIが「どのブランドを薦めるか」を組み立てるときの材料になりやすいのは、第三者が書いた内容です。レビュー、使用感の共有、比較記事、インフルエンサーの発信。ここが薄いと、公式情報が整っていても候補として挙がりにくくなります。

企業SNSの運用は、この両方に効きます。片方だけを見ていると、どちらの効果も取りこぼします。

引用元は2か月で入れ替わる

もうひとつ、実務上おさえておきたい事実があります。AIが参照するドメインの顔ぶれは、短い期間で入れ替わります。

前述のAhrefsの調査では2026年4月の前回調査と比較して、総合トップ10のうち4ドメインが入れ替わっていました。5位のYahoo!知恵袋は前回圏外からの再登場で、4位のアメブロは前回7位からの上昇です。

この変動幅を踏まえると、特定のプラットフォームで引用されることを目標に据えた施策は、数か月で前提が変わる可能性があります。実務として有効なのは、どこか一箇所での露出を最大化する動きよりも、複数の接点にブランドについての情報を積み上げておく設計です。

自社の運用にどう落とし込むか

以上を踏まえると、企業SNSの位置づけは次のように整理できます。

  • YouTube:動画そのものではなく、タイトル・説明文・字幕テキストが参照される。商品の使い方や比較を扱う長尺コンテンツが蓄積されると、比較検討段階の情報源になる
  • Instagram:投稿単体が引用される場面は限られるが、生活者が商品を認知し、検索や購入に進む起点として機能する
  • X(旧Twitter):テキスト中心で、発売直後の反応が集まりやすい。話題の発生源としての役割が大きい
  • プレスリリース・オウンドメディア:日付つきの一次情報を置く場所。SNSの発信内容と揃えておくと、AIが参照する情報の精度が上がる

「AIに引用されるためにSNSを運用する」と考えると手段が目的化します。実際にやることは、生活者に伝わる発信を続けることと、それが語り直される状態をつくることです。AIが参照しているのは、人が書いた言葉だからです。

なおSNS媒体ごとの特性や使い分けについては、こちらの記事で整理しています。

関連記事:SNSマーケティングとは?主要4媒体の特性と効果を出す進め方を解説

3. 企業SNS運用で得られる5つのメリット

ここまでを踏まえて、企業SNSのメリットを5つに整理します。それぞれについて、何が起きるかと、どう検証するかを併記します。

① 指名検索と想起の土台をつくる

企業SNSの基本的な役割は、ブランド名を思い出してもらえる状態をつくることです。売り場やECで選ばれるかどうかは、その場での比較だけで決まるわけではなく、それ以前にどれだけ想起されているかに左右されます。

ここで注意したいのは、露出量と想起が自動的には結びつかない点です。詳しくは第5章で扱いますが、投稿の表示回数だけを追っていると、想起につながっていない状態を見逃します。

検証の方法としては、指名検索数の推移を月次で追うのが実務的です。SNSの投稿量や施策実施のタイミングと重ねると、どの発信が効いているかの見当がつきます。

② UGCが生まれ、売上につながる

企業SNSを運用する意味のひとつは、生活者が自分から投稿するきっかけをつくれることです。このUGC(ユーザー生成コンテンツ)は、AIの参照先になるだけでなく、実売との関係も確認されています。

REECHが大手健康飲料ブランドのスーパー・GMS・ドラッグストアにおけるID-POSデータと連携して分析したところ、次の傾向が見えました。

  1. imp数と店頭POSや指名検索は比例しにくい傾向
  2. UGC数と指名検索も一致しにくい傾向
  3. しかしUGC数と店頭POSは比例しやすい傾向

UGCは「検索を増やすため」に評価するよりも、想起の形成や比較検討、購入時の後押しという観点で見たほうが実態に合います。あくまで一例であり、すべてのカテゴリーに当てはまるわけではありませんが、企業SNSの価値を売上の側から説明する材料になります。

検証の方法としては、ブランド名や商品名を含む一般ユーザーの投稿数を定点で計測し、POSやEC売上の推移と並べて確認します。

③ 日付つきの一次情報を発信する場になる

第2章で見たとおり、AIに引用されやすい条件のひとつは、公式の一次情報が日付つきで発信されていることです。企業SNSは、この条件を満たしやすい場所です。

効きやすいのは、次のような情報です。

  • 商品の正式名称、リニューアル後の仕様、内容量や価格の変更
  • 取扱店舗や販売チャネルの最新情報
  • キャンペーンの実施期間と応募条件
  • よく寄せられる質問への回答

派手さはありませんが、こうした情報が整理されて公開されていること自体が、他者に引用されやすい状態をつくります。

検証の方法としては、主要な生成AIに自社ブランド名や「(カテゴリー名)おすすめ」と入力し、返ってきた回答の内容と根拠として示されたリンクを月次で記録します。手作業でも始められます。

④ 生活者の言葉がそのまま手に入る

企業SNSは、調査を実施しなくても生活者の反応が集まる場所です。コメント、引用投稿、レビューで使われている表現は、そのまま商品説明や広告コピー、店頭POPに転用できます。

「使い心地がなめらか」ではなく「朝バタバタしていても塗るだけで済む」といった、生活の文脈が入った言葉が拾えます。定量調査では出てこない語彙が集まる点が、SNSの利点です。

自社に関する投稿を定期的に読み、頻出する表現をリスト化しておくと、四半期に一度の頻度でも施策の言葉選びの精度が変わります。

⑤ 広告・インフルエンサー施策の受け皿になる

企業SNSは単独で成立させるものではなく、他の施策と組み合わせたときに効きます。

エクスクリエが2026年7月に実施した調査によると、SNSや動画サービスで思いがけず商品を知り、興味を持つことがある人は64.5%でした。そのきっかけとなったコンテンツ形式は「ショート動画」が69.8%で最多です。さらに、興味を持ったことがある人の63.3%が、SNSや動画サービスで見つけた商品を実際に購入することがあると回答しています。

同調査で、購入決定に最も影響した発信者を商品カテゴリー別に見ると、食品・飲料・菓子(28.1%)、日用品・生活消耗品(34.7%)、コスメ・スキンケア(25.2%)では「一般ユーザー」が最多でした。一方、ファッション・アパレルでは「企業やブランドの公式アカウント」が30.2%で最も高くなっています。

関連記事:【エクスクリエ調査レポート】SNS・動画サービスにおける購買行動に関する調査(2026年) 

この差は公式アカウントに期待する役割をカテゴリーごとに変える必要があることを示しています。世界観やスタイリングそのものが購入判断に直結するカテゴリーでは、公式アカウントが主役になり得ます。生活消耗品のように使用実感が決め手になるカテゴリーでは、公式アカウントは自ら売り込むよりも、一般ユーザーが語りやすい材料を提供する側に回ったほうが機能します。自社がどちらに近いかの見極めが運用方針を決める最初の分岐点になります。

4. 見落とされがちなコストとリスク

メリットだけを並べても稟議は通りません。想定されるコストとリスクもあわせて整理しておきます。

担当者のリソース不足

企業SNSの継続的な運用では業務が絶えず発生します。コンテンツの企画、投稿の作成、画像や動画の編集、コメントへの返信、データの集計と分析。さらに、企画を通すための社内説明や表現の確認依頼といったやりとりも積み重なります。

問題になりやすいのは、これらを担う体制です。専任の担当者やチームを置いている企業はまだ少なく、多くの場合は他業務との兼任になります。その状態で運用を続けると、開始から数か月で時間と工数が想定を超え、投稿が滞ったり、内容が形だけのものになったりします。特に、インフルエンサーの選定や施策後の効果測定など、手作業の比率が高い業務でリソース不足が表面化します。

工数を見積もる際は投稿の制作時間だけで計算すると不足します。制作そのものより、その前後の確認や集計に時間を要するケースは珍しくありません。

対処としては、判断基準を事前に文書化しておくことが有効です。投稿してよい内容と避ける内容、コメントに返信する範囲、緊急時のエスカレーション先。これらが決まっていれば、都度の相談が減り、確認のために止まる時間も短くなります。あわせて、集計やレポート作成のように定型化できる業務は、ツールや外部の活用を検討する余地があります。社内リソースだけで回すのが難しい場合は、部分的な外部活用も選択肢になります。

関連記事:SNS運用代行とは?費用相場と外注すべきかの判断軸

炎上リスクへの備え

不特定多数に届く以上、意図しない受け取られ方をする可能性はあります。ただしリスクの多くは事前に決めていなかった事項から発生します。投稿前のチェック体制、発生時の初動フロー、判断を仰ぐ責任者。この3点を決めておくだけで、対応の速度と質が変わります。

関連記事:SNS炎上リスクの備え方|インフルエンサー施策を守る実践ガイド

なお、2023年10月に施行されたステルスマーケティング規制により、企業が対価を渡して行わせる投稿では、広告・PRであることを明示する必要があります。景品表示法やステマ規制の適用可否は、施策の内容や契約形態によって判断が分かれる場合があります。実施前には、必ず専門家・弁護士に確認することをおすすめします。

成果が出るまでに時間がかかる

企業SNSは広告のように出稿した分だけ結果が出る施策ではありません。投稿の蓄積とフォロワーの入れ替わりを経て効いてくるため、立ち上げから成果が見えるまでに半年から1年単位の時間がかかります。

ここで問題になるのが、社内の評価サイクルとのずれです。四半期ごとに成果を問われる体制の中で途中経過を示す材料がないと効きはじめる前に縮小や打ち切りの判断が下されます。担当者の異動が重なると当初の目的が引き継がれないまま投稿だけが続く状態にもなります。

これを避けるには最終的な成果に至るまでの途中段階をあらかじめ指標として置いておく必要があります。次章で扱います。

5. メリットを社内で説明するための指標設計

フォロワー数とimp数を目的に置かない

企業SNSの報告でよく使われるのは、フォロワー数と表示回数(imp数)でしょう。集計が簡単で増減がわかりやすいためです。

ただし第3章で紹介したREECHの分析が示すとおり、imp数と店頭POSや指名検索の間には明確な比例関係が見出しにくい傾向があります。impは露出機会が生まれたことを示す中間指標であり、それが購買や検索行動につながったかどうかは別の指標で判断する必要があります。

フォロワー数も同様で増えても購買層と重なっていなければ事業成果には結びつきません。これらの数字を報告しないという話ではなく目的として置かないという整理です。

フェーズごとの指標をKGIまでつなぐ

企業SNSの成果は、段階を分けて設計すると説明しやすくなります。

fig 04 kpi phase to kgi

要点は上から下まで線をつなぐことです。「保存数が増えました」で報告を終えず、その先の波及と需要にどう動きがあったかまで並べて示します。ここまで揃えると、企業SNSの価値を事業の言葉で説明できます。

すべてのフェーズを厳密に追う必要はありません。自社の目的がどこにあるかを決めて、そこに向かう指標を2〜3本選べば運用できます。

AI可視性のモニタリング方法

第2章で扱ったAIの引用については専用ツールも登場していますが、まずは手作業で始めるのが現実的です。

  • 主要な生成AIに、自社ブランド名と「(カテゴリー名)おすすめ」「(カテゴリー名)比較」などを毎月同じ文面で入力する
  • 回答に自社が登場したか、どのような表現で紹介されたか、根拠として示されたリンクは何かを記録する
  • 誤った情報が含まれていた場合、その情報の出どころを追う

3か月続けると自社が言及されやすい文脈とまったく登場しない文脈が見えてきます。後者が、発信すべき内容の候補になります。

あわせてアクセス解析でAI経由の流入を分離しておくと社内報告の材料が増えます。ただし前述のとおり、AIの参照先は数か月単位で入れ替わります。単月の増減で判断せず、四半期単位の傾向で見ることをおすすめします。

6. 企業SNSのメリットを引き出す3つの進め方

① 目的を1つに絞り、KGIまで線を引く

認知を広げたいのか、比較検討で選ばれたいのか、既存顧客のリピートを促したいのか。同時に3つを狙うと、投稿内容も指標もぼやけます。

まず1つに絞り、その目的から事業成果までの経路を書き出してください。「ショート動画で使用シーンを見せる→保存される→指名検索が増える→店頭で選ばれる」という形で、途中の段階を明示するのがポイントです。この線が引けていれば、報告の形も決まります。

② 媒体を1〜2に集中させる

自社のターゲット層と各SNSの利用者特性を照合し、まずは1〜2媒体に絞ることをおすすめします。すべてに同時に取り組むとリソースが分散し、どれも中途半端になりやすい傾向があります。

判断の目安になるのは、購入決定に影響する発信者がどちらのタイプかです。使用実感が決め手になるカテゴリーなら、一般ユーザーが投稿しやすい媒体を。世界観が判断材料になるカテゴリーなら、公式アカウントの表現力が活きる媒体を選びます。

③ 第三者に語られる設計を組み込む

公式アカウントの投稿を増やすだけでは、UGCは自然には発生しません。語る理由を用意する必要があります。

  • 投稿したくなる体験を設計する(購入後の楽しみ方、意外な使い方の提案)
  • 応募条件に投稿を組み込むキャンペーンを実施する
  • インフルエンサーの発信を起点に、一般ユーザーの投稿へ広げる

キャンペーンを検討する場合は、目的と手法の組み合わせによって成果が変わります。

広告と組み合わせて到達を補う場合は、配信面の選び方も含めた設計が必要です。

関連記事:SNSキャンペーンとは?種類・目的別の選び方を解説
関連記事:第三者配信とは?失敗しないSNS広告の条件

7. まとめ

  • 企業SNSのメリットは、生活者とブランドの間に生成AIが加わったことで位置づけが変わった。生成AIを月1回以上利用する人は40.6%、そのイメージとして最も多いのは「検索エンジンの代わり」である
  • 日本のAI検索が引用するドメインの上位はYouTubeとnoteで、実体験が集まる場所と、日付つきの一次情報が置かれる場所に大別できる。企業の公式サイトのブランドページは上位に入っていない
  • 引用元の顔ぶれは2か月でトップ10のうち4つが入れ替わるほど動く。特定プラットフォームへの最適化より、複数の接点に情報を積み上げる設計のほうが崩れにくい
  • 企業SNSの価値は、指名検索と想起の土台づくり、UGCを通じた実売への接続、日付つき一次情報の発信、生活者の言葉の獲得、他施策の受け皿という5点で説明できる
  • imp数やフォロワー数を目的に置かず、到達から反応、波及、需要、事業成果まで線をつないだ指標設計にすることで、企業SNSのメリットは社内の言葉で説明できるようになる

【執筆者プロフィール】
兼重 成美
株式会社エクスクリエ マーケティングG

インフルエンサー会社でのキャスティング・ディレクション実務を経て、インフルエンサー施策をテーマにしたウェビナーの企画・運営に従事。現在はクロス・マーケティンググループにて、「エクスクリエ」「REECH」「トキオ・ゲッツ」の3社横断でマーケティングを担当。エクスクリエおよびREECHのオウンドメディア運営・コンテンツ制作を担い、REECHではSNS施策の実務情報を広告代理店・メーカーのマーケター向けに発信している。

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REECHは国内70万件以上のインフルエンサーアカウントデータと3億件超の投稿データを保有するインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「REECH DATABASE」を運営しています。視聴率・フォロワー成長率・過去の人気クリエイティブ検索など30項目以上の分析指標をもとに、再現性の高いキャスティングと効果測定を実現します。

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