第三者配信とは?失敗しないSNS広告の条件
第三者配信とは、インフルエンサーやクリエイターが投稿したコンテンツを、広告主のアカウントを通じて広告として配信する手法です。SNS広告の運用において、公式アカウントからの発信だけでは伝わりにくい潜在層への訴求力を補う手段として注目されています。
しかし、第三者配信を始めればそれだけで成果が出るというわけではありません。実務の現場では、第三者配信を導入したものの思うような効果が得られなかった、というケースも少なくありません。理由は、配信の仕組みを理解するだけでは見えてこない要因が背景にあるからです。運用体制のリソース、追っている指標の妥当性、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の評価方法、そして何より「どのクリエイティブを配信するか」という選定の質。こうした要素が噛み合って初めて、第三者配信は本来の力を発揮します。
本記事では、第三者配信の基本と主要SNSでの特性を整理したうえで、始める前に確認すべき4つのチェックポイントを解説します。さらに、成果を左右する「クリエイティブ選定」の考え方もあわせて紹介します。
この記事でわかること
✔第三者配信の仕組みとメリット
タイアップ投稿・通常のSNS広告との違いや、主要SNSでの呼び方・特徴がわかる
✔主要SNSにおける第三者配信の特性
Instagram・TikTok・X・YouTubeそれぞれの第三者配信の位置づけと視聴態度を踏まえた選定軸が身につく。
✔配信前の4つのチェックポイントとクリエイティブ選定の考え方
リソース・指標設計・UGC・間接効果の観点から準備状況を診断し、配信するクリエイティブの選び方まで実務に落とし込める。
1. 第三者配信とは?基本を整理
デジタルマーケティングにおいて「第三者配信」という言葉には、大きく2つの意味があります。ひとつは、専用のアドサーバーを用いてGoogleやYahoo!など複数の媒体に広告を横断的に配信・一元管理する「Web広告における第三者配信(3PAS:3rd Party Ad Serving)」です。もうひとつは、インフルエンサーやクリエイターの投稿を広告主が自社の広告として配信する「SNS広告における第三者配信」です。本記事では、近年SNSマーケティングで重要度が増している後者にフォーカスして解説します。
タイアップ投稿・通常のSNS広告との違い
第三者配信とは、インフルエンサーが投稿したタイアップ投稿などのコンテンツを、そのまま広告として配信する手法です。似た言葉に「タイアップ投稿」がありますが、両者は仕組みが異なります。タイアップ投稿はインフルエンサー自身のアカウントで投稿され、リーチは基本的にそのインフルエンサーのフォロワーとアルゴリズムによる拡散範囲にとどまります。また、広告主側は投稿のアナリティクスをインフルエンサーからの共有がなければ確認できません。
一方、第三者配信ではインフルエンサーから使用許諾を得たうえで、投稿を広告主側の広告管理画面から配信します。SNSが持つオーディエンスデータに基づいたターゲティングが可能になるため、フォロワー以外のユーザーにもリーチでき、通常の運用型広告と同じように成果を追跡できる点が特徴です。
主要SNSでの呼び方
第三者配信は媒体によって名称が異なります。Instagramでは「パートナーシップ広告」(旧ブランドコンテンツ広告)、TikTokでは「Spark Ads」、X(旧Twitter)では「第三者ツイート配信」と呼ばれています。呼び方は違っても、いずれも「第三者が投稿したコンテンツを広告主が広告として活用する」という基本構造は共通しています。
第三者配信のメリット
第三者配信の主なメリットは3つあります。ひとつ目は、通常の投稿に馴染む形で表示されるため広告感が薄く、スルーされにくいことです。2つ目は、企業の公式アカウントからの発信では反応を得にくい潜在層からも、共感を得やすいことです。3つ目は、インフルエンサーのフォロワー以外にも、広告配信の仕組みを使って狙ったユーザーに届けられることです。
こうしたメリットは各SNSの公式データでも紹介されています。Metaは、通常の広告とパートナーシップ広告を組み合わせることでCTRが向上し、目標アクションあたりのコストが下がる傾向があることを紹介しています。TikTokもSpark Adsが通常のインフィード広告と比べてエンゲージメントを高めやすいことを紹介しています。ただし、こうした効果はどのクリエイティブを配信するかによって大きく変わるため、次章以降で解説する媒体特性とチェックポイントを押さえることが欠かせません。
2. 主要SNSにおける第三者配信の特性
第三者配信の効果を左右するのは、機能の有無だけでなく「その媒体のユーザーがどんな態度でコンテンツを見ているか」です。
|
媒体 |
第三者配信の呼び方 |
ユーザーの視聴態度 |
得意なファネル |
|
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パートナーシップ広告 |
保存・発見タブでの能動的な情報収集。後から見返す文化が根づいている |
認知〜比較検討 |
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TikTok |
Spark Ads |
おすすめタブ主導の受動的な情報摂取。新規の出会いを生みやすい |
認知 |
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X(旧Twitter) |
第三者のツイートを活用した広告配信 |
リアルタイムでの話題共有。拡散力が高くローンチ初動に向く |
認知・話題化 |
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YouTube |
(インストリーム広告等での活用) |
長尺での理解・納得。使用感やレビューをじっくり伝えられる |
比較検討〜購買転換 |
※目的別のSNS選び方をさらに詳しく知りたい方は「【2026年最新】企業向けSNSおすすめ4選の選び方|ファネル別活用戦略をプロが解説」もあわせてご覧ください。
このように、媒体ごとに得意なファネルが異なるため、第三者配信を行う目的(認知拡大か、比較検討の後押しか)に応じて媒体を選ぶことが基本になります。ただし、媒体を正しく選んでもなお成果が伸び悩むケースは少なくありません。次章では、その背景にある4つのチェックポイントを解説します。
※第三者配信はSNS広告全体の一部です。SNS広告とSNS運用の違いなど、より広い前提知識は「SNSマーケティングとは?主要4媒体の特性と効果を出す進め方を解説」もあわせてご覧ください。
3.第三者配信を始める前に確認すべき4つのチェックポイント
第三者配信の基本を理解したうえで、実際に成果へつなげるには次の4つの観点を事前に確認しておく必要があります。
① クリエイティブの制作・差し替え体制はあるか
第三者配信も他のSNS広告と同様、同じクリエイティブを流し続けると疲弊が早く、成果が急速に落ちる傾向があります。特にTikTokやInstagramリールのような短尺動画広告は、継続的な差し替えを前提とした制作体制が必要です。配信対象となるインフルエンサーの投稿を「誰が」「どのくらいの頻度で」供給できるかを、配信開始前に整理しておくことが欠かせません。
② 追っている指標が広告効果とコンテンツの質を混同していないか
第三者配信の評価には、大きく分けて2つのレイヤーがあります。ひとつは「クリエイティブそのものの質」を見る指標(保存率や視聴維持率など)、もうひとつは「広告として配信した結果」を見る指標(CTR・CPC・CPAなど)です。この2つは評価する対象が異なるため、混同すると誤った意思決定につながります。
例えば、imp数やエンゲージメント率(ENG率)は投稿の「見られた量」を示すに過ぎず、単体では売上や指名検索との因果関係が乏しいことが分かっています。実際に当社のデータを分析したところ、販売効果へ直結した施策の多くはIGリール視聴率(再生数÷フォロワー数)がEC向けで150%以上、店頭向けで270%以上という水準にあり、フォロワー成長率が直近90日で10%を超えるアカウントはCTR・CVRが平均より高い傾向にあります。

一方で、こうしたキャスティング時の基準は「良いクリエイティブを見極める」ための指標であり、広告配信そのものの成果はCTR・CPC・CPAといった別の指標で評価する必要がある点には注意が必要です。第三者配信は媒体によって仕様が異なるため、自社の配信形態に応じたベンチマークを個別に持つことが望ましいでしょう。
③ 保存率・視聴維持率などの質的指標を評価に組み込めているか
投稿がどれだけ「刺さったか」を測るには、量的な指標だけでは不十分です。保存率(保存数÷リーチ数)は投稿が後で見返す価値を持ったかを示す指標で、0.5%以上であれば高品質の目安とされます。視聴維持率(平均視聴時間÷動画尺)は投稿がどれだけ最後まで見られたかを示し、30〜40%以上が目標水準です。この2つを評価軸に組み込むことで、再生数やimpだけでは見えなかった「刺さり」の深さを可視化でき、第三者配信に載せるべきクリエイティブを見極める判断材料になります。 
④ プル型施策との連携で間接効果を設計できているか
第三者配信は単体で完結させるのではなく、検索や指名検索といったプル型の行動につなげる設計が重要です。UGC(ユーザー生成コンテンツ)は指名検索の増加に直結するとは言い切れない一方、店頭での購買実績とは一定の関係性が示唆されています。そのため、想起形成や比較検討、購買後押しへの寄与という観点で評価することが有効だと考えられます。広告接触後にユーザーがどこで検索し、どこで最終的な意思決定をするのかという間接的な導線まで含めて設計できているかが、成果の分かれ目になります。
4. 成果を左右するのは「配信するクリエイティブの選定」
4つのチェックポイントを整理したうえで、最終的に成果を分けるのは「どのクリエイティブを第三者配信に載せるか」という選定です。同じ第三者配信の仕組みを使っても、選ぶクリエイティブ次第で反応は大きく変わります。
なぜインフルエンサーのクリエイティブが広告と相性が良いのか
エクスクリエの調査(2025年8月公開)によると、Instagramのタイアップ投稿に対しては男女ともに「いいね」を押す行動が最も多く、保存したタイアップ投稿の商品を実際に購入した経験がある人は55.2%と半数を超えています。企業の公式アカウントによる発信とは異なり、インフルエンサーを起用したクリエイティブは「実際に使っている人の声」として受け止められやすく、これが保存や購買といった能動的な行動につながっていると考えられます。こうした反応の良さが、第三者配信のクリエイティブとして選ばれやすい理由です。
男女で異なるタイアップ投稿への反応とターゲティングの工夫
同調査では、男性は購買経験者の割合が68.6%と女性より高く、商品リンクをタップする割合も女性より高いことが分かっています。一方、女性は約4人に1人が投稿を保存しており、特に若年層で積極的な傾向が見られました。
関連記事:【エクスクリエ調査レポート】SNSにおける購買行動に関する調査結果~Instagram編~
TikTokの調査(2025年9月公開)でも同様の男女差が見られます。女性はフォロー外のインフルエンサーをより参考にする傾向がある一方、男性はフォロー中のインフルエンサーや公式アカウントを参考にする傾向があり、最終的な購入判断では友人・知人の意見も参考にすることが分かっています。
関連記事:【エクスクリエ調査レポート】SNSにおける購買行動に関する調査結果~TikTok編~
こうした男女差を踏まえると、第三者配信のターゲティング設計においても「誰のクリエイティブを、誰に向けて配信するか」という組み合わせの設計が、成果を左右する重要な要素になることが分かります。
配信時の注意点
第三者配信を行う際は、まず投稿そのものの質(保存率や視聴維持率など)を見極めたうえで配信することで、CTRやCPAの改善につながりやすい傾向があります。つまり「良いクリエイティブを選んでから第三者配信に載せる 」という順序が重要です。
なお、 第三者配信を行う場合、インフルエンサーからの使用許諾取得やステルスマーケティング規制をはじめとする法令遵守の観点は避けて通れません。各プラットフォームが提供するタイアップタグ(ブランドコンテンツタグなど)を利用し、PR表記を明確にする必要があります。投稿へのPR表記や許諾範囲については、判断に迷うグレーゾーンも存在するため、必ず専門家・弁護士に確認しながら進めることをおすすめします。
まとめ
- 第三者配信とは、インフルエンサー等の投稿を広告主が広告として配信する手法で、タイアップ投稿とは異なりフォロワー外へのターゲティング配信や効果測定が可能
- Instagram・TikTok・X・YouTubeで呼び方や特性が異なり、目的に応じた媒体選定が前提となる
- 媒体選定だけでは成果は保証されず、クリエイティブ体制・指標設計・質的指標の活用・間接効果という4つの観点の確認が欠かせない
- 第三者配信の成果を最終的に左右するのは「どのクリエイティブを配信するか」という選定の質
- 良いクリエイティブを見極めてから配信することで、CTR・CPAの改善につながりやすい
【執筆者プロフィール】
兼重 成美
株式会社エクスクリエ マーケティングGインフルエンサー会社でのキャスティング・ディレクション実務を経て、インフルエンサー施策をテーマにしたウェビナーの企画・運営に従事。現在はクロス・マーケティンググループにて、「エクスクリエ」「REECH」「トキオ・ゲッツ」の3社横断でマーケティングを担当。エクスクリエおよびREECHのオウンドメディア運営・コンテンツ制作を担い、REECHではSNS施策の実務情報を広告代理店・メーカーのマーケター向けに発信している。
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