SOVとは?計算式と発信者別に見るSNS分析の進め方
自社ブランドはSNS上で、競合と比べてどれくらい語られているのか。それを数字で示せる指標がSOV(シェア・オブ・ボイス)です。自社への言及数を市場全体の言及数で割るだけで算出できるため、競合比較の指標として広く使われています。
ただしSNSのSOVは、自社の出稿量で決まる広告のSOVと違い、企業以外のさまざまな発信者の声も合わせた数字です。SNS上の言及には、ブランドの公式アカウントの投稿もインフルエンサーのPR投稿も一般ユーザーによる自発的な投稿(UGC)も含まれます。同じ「SOV30%」でもその中身が公式発信なのか、購入者のレビューなのかによって、ブランドの実態の読み取り方や施策の評価は変わってきます。
本記事ではSOVの基本的な意味と計算式を押さえたうえで、SNS上の声を「誰が・何を語っているか」で分けて見る方法を解説します。SOVを施策の評価や社内説明に使いたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
✔SOVの意味と全体のSOVだけで判断するリスク
SOVは競合と比べた話題量の指標だ。ただし総量だけでは、その話題が誰の声で構成されているかは分からない。
✔全体のSOV・構成比・発信者タイプ別SOVの3つの見方
比較したい母集団ごとに分母をそろえ、発信者・購入状況・投稿内容・センチメントで分けて見る。
✔SOVを施策評価と社内説明に使う手順
目的に合ったSOVを選び、計測から報告までを自社で設計できるようになる。
SOVとは?意味と注目される背景
SOV(シェア・オブ・ボイス)の意味
SOV(Share of Voice:シェア・オブ・ボイス)とは、ある市場やカテゴリーの中で、自社ブランドが競合と比べてどれだけの「声」を占めているかを示す指標です。ここでいう「声」は、広告の出稿量、SNS上の言及数、検索結果での露出など、測る対象によって変わります。
たとえば、あるカテゴリーで主要5ブランドに関するSNS投稿が合計10,000件あり、そのうち自社ブランドに関する投稿が2,500件だった場合、自社のSOVは25%です。売上や販売数量のシェアである「市場シェア」に対して、SOVは「話題や露出のシェア」と考えると分かりやすいでしょう。
SOVは絶対値ではなく、競合との相対的な位置を示す指標です。自社の言及数が前月より増えていても、競合がそれ以上に伸びていればSOVは下がります。「自社だけを見ていると気づけない変化」を捉えられる点が、SOVの大きな特徴です。
もともとは広告出稿量のシェアを指す指標
SOVは、もともとテレビCMなどマス広告の出稿量を競合と比べるための指標として使われてきました。カテゴリー全体の広告出稿量のうち、自社がどれだけを占めているかを見て、広告予算の妥当性を判断する考え方です。
この領域では、「SOVが市場シェアを上回るブランドは、その後シェアを伸ばしやすい」という研究知見が知られています。SOVと市場シェアの差は「ESOV(Excess Share of Voice)」と呼ばれ、英国の広告業界団体IPAのデータベースを用いたLes Binet氏とPeter Field氏の分析などで、ESOVと市場シェアの伸びの関係が示されています。
ただしこれらの研究で主に扱われているのは、広告出稿量のシェアです。現在はSNS上の言及数のシェアにも同じ考え方を当てはめて見るのが一般的ですが、言及数のシェアだけでは評価として不十分な場合もあります。その理由は後半で詳しく解説します。
SNSの広がりでSOVの対象が変わった理由
SNSが普及したことでブランドについての「声」は企業の広告だけではなくなりました。生活者が商品の感想を投稿し、インフルエンサーが使用レビューを発信し、それが他の生活者の購買行動に影響を与えます。
その結果、SOVの対象も広告出稿量からSNS上の言及数、Web記事の掲載数、検索での露出などへと広がりました。現在「SOV」という言葉は、広告に限らず「市場全体の話題の中で、自社がどれだけ語られているか」を指す意味で使われることが増えています。
一方でSNS上の言及は発信者も内容もさまざまです。この点が、SNSのSOVを読み解くうえでの最大のポイントになります。詳しくは後半で解説します。
SOVの計算式と種類
基本の計算式
SOVの基本的な計算式は次のとおりです。
SOV(%)= 自社の数値 ÷(自社+競合の数値の合計)× 100
「数値」に何を入れるかは、測りたい対象によって変わります。SNSであれば言及数や投稿数、広告であれば出稿額や表示回数、検索であれば検索結果での表示回数などです。
ここで重要なのは、分子と分母は同じ条件でそろえることです。期間、媒体、キーワードの範囲、集計の対象が分子と分母で違っていると、算出した数字の意味が崩れてしまいます。比較対象とする競合ブランドを途中で入れ替えた場合も、過去の数値とは比較できなくなるので注意しましょう。
チャネル別のSOV
SOVはどのチャネルの「声」を測るかによって、主に次の4種類に分けられます。
|
種類 |
何を測るか |
主な数値 |
|---|---|---|
|
広告SOV |
カテゴリー内での広告露出のシェア |
広告出稿額、広告の表示回数、インプレッションシェア |
|
検索SOV |
検索結果での露出のシェア |
自然検索の表示順位・表示回数、検索広告の表示シェア |
|
SNS SOV |
SNS上の話題のシェア |
言及数、投稿数、投稿のリーチ数 |
|
メディアSOV |
ニュースやWeb記事での露出のシェア |
記事掲載数、ニュースでの言及数 |
施策の目的によって見るべきチャネルは変わります。SNS施策やインフルエンサー施策の評価であれば、中心になるのはSNS SOVです。本記事でも、ここから先はSNS SOVを中心に解説します。
混同しやすい指標との違い
SOVと一緒に語られることが多い指標を整理しておきます。
|
指標 |
意味 |
SOVとの関係 |
|---|---|---|
|
SOM(Share of Market) |
カテゴリー内での売上や販売数量のシェア |
SOVは「話題のシェア」、SOMは「売上のシェア」 |
|
ESOV(Excess Share of Voice) |
SOVからSOMを引いた差 |
プラスなら市場シェアに対して露出が多い状態 |
|
Share of Search(SOS) |
カテゴリー内のブランド名検索数のシェア |
生活者の関心をシェアで見る指標。市場シェアの先行指標として提唱された |
Share of Searchは、Les Binet氏が2020年にIPAのイベント「EffWorks Global」で発表した指標です。あるブランドの検索数を、カテゴリー内の全ブランドの検索数で割って算出します。自動車・エネルギー・携帯電話端末の3カテゴリーの分析で、市場シェアと相関し、市場シェアの動きに先行する傾向が示されました。
なお、Binet氏はこの指標を開発する過程で、当初はSNS上の話題量が市場シェアを予測できるかを検討し、その後に検索データへと着目したと語っています。
参考:IPA「Binet presents fast, cheap, predictive Share of Search metric」
REECHではSNSのSOVを施策の判断に使うなら、話題の量に加えて「誰が・何を語っているか」まで見ることが大切だと考えています。次の章ではその理由をデータとあわせて解説します。
全体のSOVだけでは見えないこと
同じSOV30%でも意味が異なる
SNSのSOVを算出するとき、多くの場合は自社ブランドに関するすべての投稿を数えます。こうして出した「全体のSOV」は、市場全体の話題の中で自社がどれだけ語られているかを示す、基本となる数字です。
ただし全体のSOVだけでは、その話題が誰によって形成されているのかが見えません。たとえば自社のSOVが全体で30%だったとしても、その中身として次のようなケースが考えられます。
- 公式アカウントや広告由来の30%:企業側の発信量が多いだけで、生活者の間ではまだ話題になっていない可能性があります。
- インフルエンサーPR由来の30%:施策による露出は取れていますが、それが生活者の自発的な投稿に広がっているかは分かりません。
- 一般ユーザーの自然な発話による30%:生活者の間で自発的に語られている状態で、ブランドへの関心が広がっている可能性があります。
- 購入者のレビューや推奨による30%:実際に使った人の評価が蓄積しており、これから購入を検討する人の判断材料になっている可能性があります。
数字は同じ30%でもブランドの実態も次に打つべき施策も大きく変わります。全体のSOVだけで「競合に勝っている」「施策が効いた」と判断すると、実態を見誤る可能性があります。SNSのSOVは「量」だけでなく、「誰の声で構成されているか」まで見ることが大切です。
購買に影響する発信者はカテゴリーによって異なる
「誰の声か」が重要になる理由の一つは、生活者が購入を決めるときに参考にする発信者が、商品カテゴリーによって異なるためです。
エクスクリエの調査(2026年8月)によると、SNSや動画サービスの情報を参考に直近で購入した商品について、購入の後押しに最も影響した発信者は、食品・飲料・菓子(28.1%)、日用品・生活消耗品(34.7%)、コスメ・スキンケア(25.2%)で「一般ユーザー(商品の感想を投稿しているなど)」が最多でした。一方、ファッション・アパレルでは「企業やブランドの公式アカウント」が30.2%で最多となっています。また、ヘルスケア・サプリメントでは「ジャンルに詳しい一般ユーザー」が25.7%で最多でした。

この結果は、どの発信者の投稿が売上に効くかを示すものではありません。ただ購入時に参考にされる発信者ががカテゴリーによって違う以上、SNS上の声をすべて同じ重みで数えるだけでは、自社のカテゴリーで本当に意味のある話題が取れているかを判断するには不十分だといえます。
関連記事:【エクスクリエ調査レポート】SNS・動画サービスにおける購買行動に関する調査(2026年)
露出の量と売上の動きは一致しないことがある
もう一つの理由は、露出の「量」と売上の動きが必ずしも一致しないことです。REECHでは大手健康飲料ブランドの施策について、スーパー・総合スーパー・ドラッグストアのID-POSデータ(店頭の購買データ)とSNS上のimp数(インプレッション数)・UGC数(生活者の投稿数)・指名検索数の推移を照らし合わせて分析しました。
その結果、imp数が期間中で最大級だった月でも指名検索数は他の月と同程度にとどまるなど、imp数と店頭POS・指名検索数の動きには一致しにくい傾向が見られました。一方でUGC数と店頭POSの間には一定の関係性が示唆され、UGCが高まる局面ではPOSも高い水準で推移する傾向がありました。

この分析は自社ブランド単体の推移を見たもので、競合とのシェア(SOV)を比較したものではありません。単月の比較で因果関係を断定できるほどの一貫性があったわけではなく、カテゴリーや商材によって結果が異なる可能性もあります。
あくまで一例ですが、「露出の量が増えれば売上も伸びる」とは限らず、どのような声が生まれているかをあわせて見る必要があることを示す結果といえます。
SNSのSOVを「誰が・何を語っているか」で分解する
全体のSOV・SOVの構成比・発信者タイプ別SOVの3つで見る
SNSのSOVを「誰の声か」まで見るには、目的に応じて使い分けるのがおすすめです。具体的には、次の3つを分けて見ます。
① 全体のSOV:市場全体での話題の占有率を見る
全体のSOV = 自社の全言及数 ÷(自社+競合の全言及数)
カテゴリー全体の話題の中で、自社がどれだけ語られているかを示す基本の数字です。
② SOVの構成比:自社の話題が誰の声でできているかを見る
構成比 = 自社の言及のうち、各発信者タイプ(公式・インフルエンサーPR・一般ユーザーなど)が占める割合
自社のSOVの中身を分解する数字です。全体のSOVが同じでも「一般ユーザーの投稿が多いのか」「公式発信が多いのか」が分かります。競合ブランドの構成比と並べると、話題の作られ方の違いも見えてきます。
③ 発信者タイプ別SOV:同じ発信者タイプの中での占有率を見る
一般ユーザーSOV = 自社に関する一般ユーザー投稿数 ÷(自社+競合に関する一般ユーザー投稿数)
インフルエンサーPR、購入者のレビュー、推奨投稿なども同じ考え方で、比較したい発信者タイプ・条件の中で分母をそろえて算出します。

この3つを並べると全体のSOVだけでは見えなかったズレが見えてきます。たとえば「インフルエンサーPRのSOVは高いのに、一般ユーザーのSOVは低い」場合、PR投稿は出ているものの、生活者の自発的な投稿にはまだ広がっていないと読めます。
分解の軸①:発信者タイプとPR/オーガニック
最初に分けたいのは、投稿の発信者タイプです。代表的な分け方は、ブランドの公式アカウント、インフルエンサー、一般ユーザーの3つです。一般ユーザーの中でも、特定ジャンルに詳しい人を分けて見るケースもあります。
あわせて、PR投稿とオーガニック投稿(企業からの依頼や対価を伴わない自発的な投稿)も分けて見ましょう。インフルエンサーの投稿でも、企業から依頼されたPR投稿と自分で購入して紹介した投稿では意味が異なります。PR投稿の量は施策で増やせますが、オーガニック投稿の量は生活者の関心の広がりを反映しやすいためです。
分解の軸②:購入状況と投稿内容
次に分けたいのが投稿者の購入状況と投稿の内容です。
購入状況は「購入者」と「非購入者」に分けます。投稿文中の「買った」「使ってみた」「リピートしている」などの表現から、実際に商品を使った人の投稿かどうかを判別する方法が一般的です。
投稿内容は、たとえば次のように分けられます。
- 期待投稿:「気になる」「買ってみたい」など、購入前の関心を示す投稿
- 購入報告:「買った」「届いた」など、購入したことを伝える投稿
- レビュー:使用感やメリット・デメリットを具体的に語る投稿
- 推奨:「おすすめ」「リピート確定」など、他の人にすすめる投稿
期待投稿のSOVが高ければ、話題化や認知の施策が効いている段階、レビューや推奨のSOVが高ければ、購入者の評価が蓄積している段階と読むことができます。
エクスクリエの同調査では、購入の後押しに最も影響した発信者が一般ユーザーだった人は、その発信者を信頼できると感じた理由として「説明が詳しかった」(29.7%)、「本音で話していると感じた」(25.5%)、「デメリットや注意点も伝えていた」(22.1%)を多く挙げています。投稿の数だけでなく、具体的な使用感やデメリットまで語られているかという「中身」も、見ておきたいポイントです。
なお、投稿文からの購入状況や投稿内容の判別には限界があります。言葉の使い方は人によって異なるため、自動分類だけに頼らず、一部の投稿を目視で確認しながら分類基準を調整することをおすすめします。
分解の軸③:ポジティブ/ネガティブ
3つ目の軸は投稿のセンチメント(感情の傾向)です。SOVが高くてもその多くがネガティブな投稿であれば、喜べる状態ではありません。
ポジティブ・ネガティブ・ニュートラルの3つに分け、それぞれの発信者タイプ別SOVを見ることで、「話題になっているが評判は良くない」「話題量は少ないが評価は高い」といった状態を区別できます。ネガティブな投稿が急に増えた場合は、炎上や品質トラブルの兆候である可能性もあるため、早めに内容を確認しましょう。
分解結果の読み方
分解した結果は、たとえば次のように読み解くことができます。以下は、考え方を示すための一例です。
|
状態 |
読み取れること |
考えられる打ち手 |
|---|---|---|
|
全体のSOVは高いが、構成比の大半が公式・PR |
企業側の発信が中心で、生活者の声に広がっていない |
生活者の投稿を生むきっかけ(体験機会、投稿したくなる工夫)をつくる |
|
PRのSOVは高いが、一般ユーザーSOVは低い |
PR投稿が生活者の自発的な投稿につながっていない |
起用するインフルエンサーや投稿内容が、ターゲットに届いているかを見直す |
|
全体のSOVは低いが、レビュー・推奨のSOVは高い |
話題量は少ないが、購入者の評価は高い |
購入者の声を広げる施策や、認知を広げる施策を検討する |
|
全体のSOVは高いが、ネガティブの比率が高い |
話題の多くが不満や批判で占められている |
投稿内容を確認し、商品・コミュニケーション上の課題を特定する |
SNSでSOVを測る手順と注意点
比較する競合と期間を決める
最初に決めるのは、比較する競合ブランドと期間です。競合は、生活者が実際に比較検討する範囲で選びます。売上規模の近いブランドだけでなく、売り場や検索で並びやすいブランドも候補になります。
期間は施策の前後を比べたいのか、月次で推移を追いたいのかによって決めます。季節性のある商品は、前年同月と比べることも検討しましょう。一度決めた競合と期間は途中で変えず、同じ条件で継続して測ることが、SOVを比較に使う上での前提です。
ブランド名・略称・表記ゆれを含めてキーワードを設計する
SNS上でブランドについて語るとき、生活者は正式名称だけを使うわけではありません。略称、カタカナ・英字の表記ゆれ、商品名だけの言及、よくある誤記などもキーワードに含める必要があります。
一方でキーワードを広げすぎるとブランドと関係のない投稿まで拾ってしまいます。ブランド名が一般的な単語と同じ場合は、カテゴリー名や関連語との組み合わせで絞り込みましょう。自社と競合でキーワード設計の粒度をそろえることも重要です。自社だけ表記ゆれまで細かく拾うと、自社のSOVが実態より高く出てしまいます。
キャンペーン応募投稿・bot・同名の別語などのノイズを除く
SNSの言及数には、ブランドへの関心とは別の理由で生まれた投稿も含まれます。代表的なのは、プレゼントキャンペーンの応募を目的とした投稿や再投稿です。応募条件として投稿やリポストを求めるキャンペーンを実施すると、一時的に言及数が大きく増えます。
こうした投稿は話題の広がりを示す一方で、ブランドそのものへの関心や評価を表しているとは限りません。言及数が急増した時期は、投稿の内容・拡散元・反応の文脈を確認し、応募目的の投稿が中心であれば、別枠で集計するか除外して見ることをおすすめします。
この他、botによる自動投稿、スパム投稿、ブランド名と同じ別の言葉を含む投稿なども、SOVを実態より高く見せる要因になります。
PR投稿を判別する
インフルエンサーPRのSOVを測るには、PR投稿とオーガニック投稿を判別する必要があります。2023年10月から、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す、いわゆるステルスマーケティングが景品表示法の規制対象となりました。そのため、企業が依頼したPR投稿には「PR」「広告」などの表記が入っていることが前提になります。
実務では、「#PR」「#広告」「提供」などの表記や、プラットフォームのタイアップ投稿機能の有無から判別するのが一般的です。ただし、表記の位置や書き方は投稿によってさまざまなので、キーワードだけで機械的に分類すると漏れが出ることがあります。
なお、PR表記の要件や、どこからが規制の対象になるかの判断は、個別の状況によって異なります。具体的な判断が必要な場合は、必ず専門家・弁護士に確認してください。
媒体ごとにデータの取得範囲が違う点に注意する
SNSのSOVを測る際に見落としがちなのが、媒体ごとのデータの取得範囲の違いです。ソーシャルリスニングツールで取得できる投稿の範囲や、さかのぼれる期間は、ツールや媒体、契約内容によって異なります。媒体によっては、計測を始める前の過去の投稿を取得できない場合もあります。
施策の前後を比べたい場合は、施策が始まる前から計測を開始しておくことが大切です。また媒体ごとに取得できる範囲が違うため、複数の媒体の言及数を単純に合算すると、取得しやすい媒体の数字に引っ張られることがあります。まずは媒体ごとにSOVを出し、合算する場合はその前提を報告資料に明記しましょう。

SOVの分析結果を施策と社内説明に活かす
目的に合わせて見るSOVを決める
SOVは施策の目的に合わせて「どのSOVを主に見るか」を決めておくと、評価がぶれにくくなります。
|
施策の目的 |
主に見るSOV |
見方のポイント |
|---|---|---|
|
新商品の認知を広げたい |
全体のSOV、インフルエンサーPRのSOV |
話題量が競合と比べて取れているか |
|
生活者の間で話題を広げたい |
一般ユーザーSOV、オーガニック投稿のSOV |
PRや公式発信が生活者の投稿に広がっているか |
|
比較検討で選ばれたい |
レビュー・推奨のSOV、ポジティブ投稿のSOV |
購入者の評価が競合と比べて蓄積しているか |
前述のとおり、購買に影響する発信者はカテゴリーによって異なります。自社のカテゴリーで、生活者がどの発信者の声を参考にしているかを踏まえて、重視するSOVを選びましょう。
インフルエンサー施策の評価につなげる
インフルエンサー施策の評価では、PR投稿の数や再生数だけでなく、その後に一般ユーザーの投稿がどれだけ生まれたかを見ることが大切です。
具体的には施策期間の前後でインフルエンサーPRのSOVと一般ユーザーSOVの推移を並べて見ます。PRのSOVが上がった後に一般ユーザーSOVも上がっていれば、PR投稿が生活者の自発的な投稿につながった可能性があります。反対に、PRのSOVだけが上がり、一般ユーザーSOVが動いていない場合は、起用するインフルエンサーや投稿の内容が、ターゲットに届いていたかを見直すきっかけになります。
ただし一般ユーザーSOVの変化には、店頭での露出や広告、季節性など他の要因も影響します。SOVの変化だけで施策の効果を断定せず、売上やその他の指標とあわせて判断しましょう。
上司・クライアントへの報告での見せ方
SOVを報告するときは全体のSOVの数字だけを示すのではなく、次の3点をセットで見せると、施策の状況が伝わりやすくなります。
- 全体のSOVの推移:競合と比べて、話題のシェアがどう変化したか
- SOVの構成比:自社の話題が、公式・PR・一般ユーザーのどの声でできているか
- 重視する発信者タイプ別SOV:施策の目的に合わせて選んだSOV(一般ユーザー、レビュー・推奨など)の推移
あわせて競合の範囲、期間、キーワード、除外したノイズの条件を明記しておくと、数字の信頼性を説明しやすくなります。「SOVが上がった」という結果だけでなく、「誰の声が増えたのか」まで説明できれば、次の施策の提案にもつなげやすくなるはずです。

まとめ
- SOV(シェア・オブ・ボイス)は、市場の中で自社が競合と比べてどれだけ語られているかを示す指標で、「自社の数値 ÷(自社+競合の数値)」で算出します。
- SNSのSOVを全体の数字だけで見ると、その話題が誰によって形成されているのかが見えず、ブランドの実態や施策の評価を誤る可能性があります。
- 計算式は一つに固定せず、全体のSOV・SOVの構成比・発信者タイプ別SOVの3つを分けて見ます。発信者タイプ別SOVは、比較したい母集団ごとに分母をそろえて算出します。
- 発信者、PR/オーガニック、購入状況、投稿内容、センチメントで分解すると、全体のSOVだけでは見えないズレを捉えられます。
- 測定時はキーワード設計、ノイズ除去、PR判別、媒体ごとの取得範囲の違いに注意し、施策の目的に合ったSOVを選んで報告しましょう。
SNSのSOVは、単純な話題量ではなく、「誰が・何を語っているか」まで見て初めて、施策の判断に使える指標になります。
【執筆者プロフィール】
兼重 成美
株式会社エクスクリエ マーケティングGインフルエンサー会社でのキャスティング・ディレクション実務を経て、インフルエンサー施策をテーマにしたウェビナーの企画・運営に従事。現在はクロス・マーケティンググループにて、「エクスクリエ」「REECH」「トキオ・ゲッツ」の3社横断でマーケティングを担当。エクスクリエおよびREECHのオウンドメディア運営・コンテンツ制作を担い、REECHではSNS施策の実務情報を広告代理店・メーカーのマーケター向けに発信している。
インフルエンサーマーケティングならREECH DATABASE
REECHは国内70万件以上のインフルエンサーアカウントデータと3億件超の投稿データを保有するインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「REECH DATABASE」を運営しています。視聴率・フォロワー成長率・過去の人気クリエイティブ検索など30項目以上の分析指標をもとに、再現性の高いキャスティングと効果測定を実現します。
「自社のSOVが競合と比べてどうなっているか知りたい」「インフルエンサー施策が生活者の声に広がっているか検証したい」といったお悩みがありましたら、REECHまでお気軽にお問い合わせください。
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