ソーシャルリスニングとは?目的別にわかることと始め方
SNSで商品を調べ、実際に使った人の感想を確かめてから買うことは、多くの生活者にとって当たり前の行動になりました。企業が発信する情報だけでなく、SNS上で商品がどう語られているかが、選ばれ方を大きく左右しています。
「自社の商品がSNSでどう語られているかを知りたい」「キャンペーンの反響を確かめたい」「ネガティブな声にいち早く気づきたい」。こうした課題に応える手法が、ソーシャルリスニングです。
ただし集めた声を施策の判断に活かすには、何を知るために聞くのか、どの媒体のどんな声を聞くのかを集め始める前に決めておく必要があります。
この記事では、ソーシャルリスニングの意味とモニタリング・アンケート調査との違いを整理したうえで、目的別にわかることを紹介します。あわせて、テキストの言及数だけを追うと聞き逃しやすい声と、始める前に決めておきたいことを解説します。施策の企画や社内・クライアントへの説明にお役立てください。
この記事でわかること
✔ソーシャルリスニングの意味とモニタリングとの違い
SNS上の声を集めて施策の判断に使う手法である。個別の投稿に対応するモニタリングとは、目的も問いの立て方も異なる。
✔目的別にわかることと聞き逃しやすい声
競合比較・施策評価・評判管理など、目的ごとに見るべき声を整理する。テキストの言及数だけでは捉えにくい、ショート動画で生まれる購買のきっかけも示す。
✔ソーシャルリスニングの始め方と注意点
目的と問い、聞く媒体、キーワード、ツールと運用体制の決め方を押さえ、読み違えやすいポイントを避けながら運用を始められる。
ソーシャルリスニングとは
「自社がどう語られているか」を施策の判断材料に変える手法
ソーシャルリスニングとはSNSや口コミサイトなどで生活者が発信している声を集めて分析し、マーケティングの判断に活かす手法です。「リスニング(聞く)」という言葉のとおり、企業が発信するのではなく、生活者がすでに語っていることに耳を傾ける点が特徴です。
対象になるのはブランド名や商品名を含む投稿、関連するハッシュタグ、カテゴリ全体の会話などです。集めた声からは自社や競合がどれだけ語られているか、どのような評価を受けているか、どんな使われ方をしているかといった情報が読み取れます。
大切なのは声を集めること自体ではなく、集めた声から施策の判断材料を得ることです。後半で詳しく解説しますが、言及数を数えるだけでは判断に使える情報になりにくいため、何を知りたいのかを先に決めておく必要があります。
ソーシャルモニタリングとの違い
ソーシャルリスニングとよく並べて使われるのが、ソーシャルモニタリングです。両者は同じようにSNSの投稿を集めますが、目的と使い方が異なります。
ソーシャルモニタリングは、自社への言及を見張り、個別の投稿に対応するための活動です。問い合わせへの返信や、不満の声への個別対応、炎上の初動対応などが該当します。一方、ソーシャルリスニングは、集めた声を集計・分析して傾向を読み取り、商品やコミュニケーションの改善に活かす活動です。
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比較項目 |
ソーシャルモニタリング |
ソーシャルリスニング |
|---|---|---|
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目的 |
目の前の投稿に返信・対応する(顧客対応、炎上の初動など) |
多くの投稿から傾向を読み取り、次の施策を決める |
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見る単位 |
1件ずつの投稿 |
投稿全体の傾向(量・評価・語られ方の変化) |
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主な担当 |
カスタマーサポート、広報、SNS運用担当 |
マーケティング、商品企画、SNS施策担当 |
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動き方 |
投稿があってから対応する(受け身) |
週次・月次で傾向を見て、先回りして手を打つ |
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具体例 |
「注文した商品が届かない」という投稿を見つけ、問い合わせ窓口を案内する |
「詰め替え用」と一緒に語られる投稿が増えていることに気づき、詰め替え用の訴求を強める |
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ツール |
SNSの通知や検索機能でも対応できる |
大量の投稿を集計・分析するため、専用ツールがほぼ必須 |
実務では両方を同じツールで行うことも多いため、厳密に分ける必要はありません。ただ、社内で「リスニングを始める」と言ったときに、対応のための監視なのか、判断のための分析なのかをそろえておくと、担当や報告の形が決めやすくなります。
アンケート調査との違い
生活者の声を知る方法としては、アンケートやインタビューなどの調査もあります。調査は、企業が設計した質問に答えてもらう方法です。聞きたいことを確実に聞ける一方で、質問されたから答えた声であり、普段の言葉づかいとは異なる場合があります。
ソーシャルリスニングで集まるのは、誰にも聞かれていないのに語られた声です。企業が想定していなかった使い方や不満、比較されている競合など、質問を設計する段階では思いつかなかった発見が得られることがあります。その反面、投稿する人に偏りがあり、生活者全体の意見を代表しているとは限りません。
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比較項目 |
アンケート調査 |
ソーシャルリスニング |
|---|---|---|
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声の集め方 |
企業が質問を用意し、対象者に答えてもらう |
SNSなどに、すでに自発的に投稿されている声を集める |
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具体例 |
「この商品を選んだ理由」を選択肢から選んでもらう |
「香りが長持ちする」「詰め替えが面倒」など、投稿に書かれた言葉から選ばれる理由や不満を探る |
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強み |
対象者や質問を設計でき、全体像をつかみやすい |
想定外の使い方や本音、比較対象に気づける |
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弱み |
質問の範囲外の発見が少ない |
投稿する人に偏りがあり、全体を代表しない |
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向いている用途 |
認知率や購入意向など、決まった項目を数値で測る |
想定していなかった不満や使い方の発見、評判の推移の把握 |
ソーシャルリスニングで仮説を見つけ、アンケートで検証するというように、両者は組み合わせて使うと効果的です。
ソーシャルリスニングが重要視される理由
ソーシャルリスニングが重視される背景には、生活者の情報の集め方と、企業に求められる対応のスピードの変化があります。
購入の判断材料が生活者の声に移っている
商品を選ぶとき企業の広告や公式サイトだけでなく、SNSで実際に使った人の感想を確かめることは、多くの生活者にとって当たり前の行動になりました。同じカテゴリに似た商品が並ぶほど、機能や価格の説明だけでは選ばれにくく、「使ってみてどうだったか」という第三者の声が比較の決め手になります。
こうした声は、企業がコントロールできない場所で日々積み上がっています。自社の商品がどのような言葉で語られ、どんな点が評価され、何に不満を持たれているのかを知らないまま発信を続けると、生活者の受け止め方とのずれに気づけません。SNS上の口コミやレビューは、生成AIが回答をつくる際の参考情報にもなり得るといわれており、語られ方を把握しておく意味は今後さらに大きくなると考えられます。
調査の合間に起きる変化をつかめる
アンケートやインタビューは、実施した時点の生活者の考えを知る方法です。一方で、商品の評価や使われ方は、発売後の口コミや競合の動き、季節やトレンドによって日々変わります。
ソーシャルリスニングなら、定期調査の合間に起きている変化を継続して追えます。想定していなかった使い方が広がっている、競合の新商品と比べられ始めている、といった動きに早い段階で気づけるため、調査を設計し直す前の仮説づくりにも役立ちます。
反響とリスクに早く気づける
キャンペーンや新商品の発売、広告の出稿に対して、生活者がどう反応しているかを当日から確認できます。反応がよければ追加の施策を早めに打ち、想定と違う受け止め方をされていれば表現を見直す、といった判断のスピードが上がります。
評判管理の面でも同じです。SNSでは、小さな不満や違和感が短時間で広がることがあります。ネガティブな投稿の増加に早く気づければ、事実確認や社内での共有、必要に応じた説明といった初動を、影響が大きくなる前に取れます。
多くの企業がマーケティングに活用している
ソーシャルリスニングツールを提供するMeltwaterの調査レポートでは、ソーシャルリスニングを自社の戦略に活用している企業が37.4%、2026年に導入予定の企業が30.5%と報告されています。活用目的では「ブランド評価の監視」が87%で最も多く、「ブランド認知度の追跡」が56%で続きました。
評判の把握を中心に、認知や施策の効果を確かめる手段としても、ソーシャルリスニングは多くの企業のマーケティング活動に組み込まれています。
参考:Meltwater「データで読み解く2026年ソーシャルメディアの最新状況」
ソーシャルリスニングでわかること
ソーシャルリスニングでわかることは何を知るために聞くかによって変わります。ここでは、SNS施策の担当者がよく使う5つの目的に分けて整理します。
競合と比べて自社がどう語られているか
自社ブランドがカテゴリの中でどれだけ語られているかを、競合と比べて把握できます。代表的な指標が、市場全体の言及数に占める自社の割合を示すSOV(シェア・オブ・ボイス)です。
ただしSNS上の言及には、公式アカウントの投稿、インフルエンサーのPR投稿、一般ユーザーの自発的な投稿が混ざっています。同じSOVでも、中身が公式発信なのか購入者のレビューなのかで、読み取れることは変わります。量だけでなく「誰の声か」まで分けて見ることが重要です。
施策が生活者の声に広がったか
インフルエンサー施策やキャンペーンのあとに、一般ユーザーの投稿が増えたかを確認できます。PR投稿の数や再生数は施策を実施すれば必ず積み上がりますが、それが生活者の自発的な投稿につながったかは別の問題です。
施策の前に投稿数を記録しておき、実施後にPR投稿と一般ユーザーの投稿を分けて推移を比べると、施策が会話を生んだかどうかを判断しやすくなります。
関連記事:SNS効果測定の進め方|指標の選び方と評価設計
関連記事:UGCとは?クチコミが増え始める「最初の投稿」の設計
評判の変化と炎上の予兆
投稿の内容をポジティブ・ネガティブに分けて推移を見ると、評判の変化に早く気づけます。ネガティブな投稿が急に増えた場合は、品質トラブルや表現への批判が起きている可能性があります。
炎上は突然起きるように見えますが、小さな不満や違和感の投稿が先に出ていることも少なくありません。平常時の水準を把握しておくことで、いつもと違う動きを判断できるようになります。
関連記事:SNS炎上リスクの備え方|インフルエンサー施策を守る実践ガイド
関連記事:レピュテーションリスクとは|炎上だけではないSNS施策の評判管理
商品開発や訴求のヒント
生活者が商品について語るときの言葉には、企業が想定していなかった使い方や、評価されているポイントが表れます。たとえば、企業は「時短」を訴求していても、生活者は「洗い物が減る」という言葉で語っている、といったずれが見つかることがあります。
語られている言葉を訴求の表現に取り入れたり、繰り返し出てくる不満を商品改善の材料にしたりと、コミュニケーションと商品の両面で活かせます。
起用する発信者の手がかり
カテゴリについて詳しく語っている人や自分で購入した商品を継続して紹介している人は、インフルエンサー施策の起用候補になります。フォロワー数の多さではなく、誰が・どのような内容で語っているかから候補を探せる点がリスニングならではの使い方です。
見つけた候補が、専門知識をもとに語るKOLなのかm消費者目線で実体験を語るKOCなのかを見分けておくと施策での役割を決めやすくなります。
テキストの言及を数えるだけでは聞き逃す声がある
ソーシャルリスニングというとブランド名や商品名、ハッシュタグなどのキーワードを設定し、それを含む投稿を集めて分析する方法が基本です。画像からロゴや商品を読み取る機能を備えたツールもありますが、対応範囲はツールによって異なります。一方で、生活者が商品と出会い、購入を決める場面には、キーワードを含む投稿だけでは捉えきれない声もあります。
商品との出会いはショート動画で起きている
エクスクリエの調査(2026年7月)によると、SNSや動画サービスで思いがけず商品を知り、興味を持つことが「よくある」「たまにある」と答えた人は64.5%でした。そのきっかけとなったコンテンツ形式は「ショート動画」が69.8%で最も多くなっています。
さらに思いがけず商品を知って興味を持つことがある人のうち、63.3%がその商品を実際に購入することが「よくある」「たまにある」と回答しました。検索して比較する前に、おすすめ表示で流れてきた動画が購買のきっかけになっている、ということです。
商品の情報収集をする際のコンテンツ形式もすべての商品カテゴリで「ショート動画」が最多でした。ファッション・アパレルでは「写真投稿」、ヘルスケア・サプリメントでは「長尺動画」が2番目に多く、カテゴリによって参照される形式にも違いがあります。
関連記事:【エクスクリエ調査レポート】SNS・動画サービスにおける購買行動に関する調査(2026年)
動画や画像の中で語られることはテキストに残りにくい
ショート動画では、商品の感想や使い方が投稿文ではなく動画の中の話し言葉や字幕、画面に映る商品そのもので伝えられることが多くあります。投稿文にブランド名が書かれていなければ、テキストを対象にした集計では言及としてカウントされません。
写真投稿も同様です。パッケージが写っていても、キャプションが「最近のお気に入り」だけであれば、ブランド名での検索には引っかかりにくくなります。テキストの言及数が少ないからといって、生活者の間で話題になっていないとは限らない、ということです。
こうした声を拾うには、ブランド名の集計に加えて、カテゴリの関連語やハッシュタグで投稿を集め、上位に表示される投稿を実際に見て確認するといった補い方が必要になります。数を数える作業と、中身を見る作業を分けて設計しておくと、聞き逃しを減らせます。
媒体ごとに取得できる範囲が違う
もう一つ注意したいのが、媒体によって集められる投稿の範囲が異なる点です。ツールや媒体、契約内容によって、取得できる投稿の種類やさかのぼれる期間は変わります。
取得しやすい媒体の投稿だけを集めていると、聞いている声がその媒体の利用者に偏ります。複数の媒体の言及数を単純に合算すると、取得しやすい媒体の数字に全体が引っ張られることもあります。まずは媒体ごとに結果を出し、合算する場合はその前提を明記しておきましょう。測定時の具体的な注意点は、SOVの記事で詳しく解説しています。
関連記事:SOVとは?計算式と発信者別に見るSNS分析の進め方
ソーシャルリスニングの始め方
ソーシャルリスニングは、ツールを導入する前に「何を知りたいか」「どこを聞くか」「どの言葉で集めるか」を決めておくと、運用が安定します。実務で決めておきたい4つのポイントを順に解説します。
目的と答えたい問いを決める
最初に決めるのは、何のために聞くのかです。前述のとおり、競合比較・施策評価・評判管理・商品開発・発信者選定など、目的によって集める声も見るべき指標も変わります。
目的が決まったら、答えたい問いに落とし込みます。「SNSでの評判を知りたい」のままでは、集めた声をどう判断に使うかが決まりません。「新商品は発売後1か月で、どんな言葉で語られているか」「キャンペーン後に、購入報告やレビューの投稿は増えたか」のように、次の判断につながる形にしておくと、キーワードや比較対象、期間が決めやすくなります。
最初から多くの目的を追うと、レポートを作るだけで手一杯になりがちです。まずは1つの問いで「集める、判断する、施策に反映する」流れをつくり、定着してから対象を広げていくのが現実的です。
聞く媒体を選ぶ
次にどの媒体の声を聞くかを決めます。媒体ごとに、生活者が投稿する内容や、購買行動の中での役割が異なるためです。
前述のとおり、情報収集で参照される形式は、商品カテゴリによって異なります。取得しやすい媒体だけで済ませず、自社の顧客が商品と出会い、比べている媒体から優先して聞きましょう。比較検討に時間をかける商材では、ECサイトのレビューやQ&Aサイト、ブログに声が集まることもあるため、SNS以外を対象に含めるかもあわせて検討します。
なお、どのツールでもすべての媒体の声を同じように集められるわけではありません。X(旧Twitter)を中心に分析するツールもあれば、Instagram・TikTok・YouTubeまで対応するツールもあります。また、各SNSが外部のツールに提供するデータの範囲は限られており、非公開アカウントの投稿や他社アカウントのストーリーズなどは取得できないのが一般的です。聞く媒体を決めたら、使うツールがその媒体のどの投稿まで取得できるかを確認しておきましょう。
関連記事:【2026年最新】企業向けSNSおすすめ4選の選び方|ファネル別活用戦略をプロが解説
キーワードを設計する
集める投稿の範囲は、キーワードの設計でほぼ決まります。ブランド名や商品名の正式名称だけでなく、略称、カタカナ・英字・ひらがなの表記ゆれ、よくある誤記まで洗い出します。ブランド名を書かずに商品名だけで語られることが多い場合は、商品名も対象に加えます。
反対にブランド名が一般的な単語や別の固有名詞と同じ場合は、関係のない投稿が大量に混ざります。カテゴリ名や関連語と組み合わせる、無関係な文脈で使われる語を除外ワードに入れる、といった絞り込みが必要です。
知りたいことに合わせて、掛け合わせる語を変えるのも有効です。使用感を知りたいなら「使ってみた」「リピ」、不満を拾いたいなら「残念」「合わない」などを組み合わせます。キーワードは一度決めて終わりではなく、集まった投稿を見ながら追加と除外を繰り返して精度を上げていきます。競合と比較する場合は、自社と競合でキーワードの粒度をそろえることも欠かせません。
ツールと運用体制を決める
各SNSの検索機能でも、少量の投稿を確認することはできます。ただし期間を区切った集計や推移の比較、競合との比較を継続するには手作業では限界があるため、専用のソーシャルリスニングツールを使うのが一般的です。ツールを比較するときは、次のような点を確認します。
- 対応している媒体と取得できる投稿の範囲
- さかのぼって取得できる期間
- 画像や動画の内容を解析できるか
- センチメント分析や話題の分類の精度
- 言及の急増を知らせるアラート機能
- レポートの出力形式と共有のしやすさ
- 導入後のサポート体制
あわせて「誰が」「どの頻度で見て」「誰に報告するか」を決めておきます。炎上の予兆に気づくことが目的なら日次の確認とアラートの通知先が、施策評価が目的なら施策前の水準の記録と月次の報告が必要です。体制が決まっていないと、ツールを導入しても見られないまま終わってしまいます。
ソーシャルリスニングでよくある落とし穴
集めたデータの読み方を誤ると判断そのものを誤ります。実務でつまずきやすい点を紹介します。
センチメントの自動判定をそのまま使う
多くのツールには、投稿をポジティブ・ネガティブ・ニュートラルに自動で振り分ける機能があります。ただし判定には限界があります。たとえば「やばい」は褒め言葉にも不満にも使われ、皮肉を込めた表現や、絵文字・ネットスラングで感情を表す投稿は誤って判定されやすくなります。
センチメントの比率を報告に使う場合は、一部の投稿を目で見て、判定が実態と合っているかを確認しましょう。ずれが大きい語は辞書やルールの設定で調整し、調整した内容を記録しておくと、期間をまたいだ比較がしやすくなります。
一部の強い声を全体の評価と取り違える
SNSには個人の感情がそのまま投稿されるため、どの商品にも一定数の批判的な声があります。目立つ投稿や拡散された投稿だけを見て判断すると、全体の評価を見誤ります。
ネガティブな投稿を見つけたら、言及全体に占める割合と、平常時より増えているかを確認します。普段の水準を把握しておくと、いつもある不満なのか、対応が必要な変化なのかを切り分けやすくなります。一方で、安全性や品質、表示に関わる指摘は、件数が少なくても内容を確認し、関係部署に共有する必要があります。
誰の声かを分けずに見る
SNS上の言及には公式アカウントの投稿、インフルエンサーのPR投稿、一般ユーザーの自発的な投稿、キャンペーン応募のための投稿などが混ざっています。これらをまとめて数えると、プレゼントキャンペーンを実施した月だけ言及数が急増する、といった実態と合わない動きが生まれます。
発信者のタイプやPR投稿かどうか、購入者の投稿かどうかで分けて見ることで、生活者の間で本当に語られているのかを判断できます。
多くのソーシャルリスニングツールには、投稿者のフォロワー数やアカウント名、投稿に含まれるキーワードで絞り込んだり除外したりする機能があります。ただし「一般ユーザー」「PR投稿」といった分類が自動で付くとは限らず、使える機能もツールによって異なります。そのため実務では、公式アカウントを個別に指定して除外する、一定のフォロワー数を目安にインフルエンサーと一般ユーザーを分ける、「#PR」「提供」などの表記でPR投稿を判別する、といったルールを組み合わせて分ける方法がよく使われます。
個人の投稿を配慮なく共有する
ソーシャルリスニングで集まるのは、生活者が自分の言葉で書いた投稿です。社内報告やクライアント向けの資料で投稿を紹介する際は、アカウント名やアイコンを伏せる、要約して紹介するなど、投稿者が特定されないよう配慮しましょう。
投稿を広告やWebサイトで二次利用する場合は、投稿者の許諾が必要です。ツールで取得したデータの扱いも、各プラットフォームの利用規約やツールの利用条件に従う必要があります。判断に迷う場合は、法務部門などの専門家に確認してください。
まとめ
- ソーシャルリスニングとは、SNS上で生活者が自発的に語っている声を集めて分析し、施策の判断に活かす手法です。個別の投稿に対応するモニタリングとは、目的も見る単位も異なります。
- 購入の判断材料が生活者の声に移り、反響やリスクに素早く対応する必要が高まっていることから、取り組む企業が増えています。
- 商品との出会いや情報収集はショート動画が中心です。テキストの言及数だけでは、動画や画像の中で語られる声を聞き逃す可能性があります。
- 始める前に、目的と答えたい問い、聞く媒体、キーワード、ツールと運用体制を決めておきましょう。
- センチメントの自動判定や一部の強い声をうのみにせず、誰の声かを分けて見ること、投稿者への配慮も欠かせません。
【執筆者プロフィール】
兼重 成美
株式会社エクスクリエ マーケティングGインフルエンサー会社でのキャスティング・ディレクション実務を経て、インフルエンサー施策をテーマにしたウェビナーの企画・運営に従事。現在はクロス・マーケティンググループにて、「エクスクリエ」「REECH」「トキオ・ゲッツ」の3社横断でマーケティングを担当。エクスクリエおよびREECHのオウンドメディア運営・コンテンツ制作を担い、REECHではSNS施策の実務情報を広告代理店・メーカーのマーケター向けに発信している。
インフルエンサーマーケティングならREECH DATABASE
REECHは国内70万件以上のインフルエンサーアカウントデータと3億件超の投稿データを保有するインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「REECH DATABASE」を運営しています。視聴率・フォロワー成長率・過去の人気クリエイティブ検索など30項目以上の分析指標をもとに、再現性の高いキャスティングと効果測定を実現します。
「SNS上で自社がどう語られているかを施策に活かしたい」「インフルエンサー施策が生活者の声に広がっているか確かめたい」といったお悩みがありましたらREECHまでお気軽にお問い合わせください。
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